監査法人はどのような対応をするのでしょうか。
(a) 財務諸表の作成責任と監査責任
適正な財務諸表を作成し公表する責任は会社にあり、監査人は一般に公正妥当と認められる監査基準に準拠して監査を行い、財務諸表の適正性に関する監査意見を表明する責任があります。従いまして、財務諸表の作成者はあくまで会社であり、投資家への説明責任も会社が持っています。このため監査法人からの助言や質問の回答についても鵜呑みにすることなく、会社として十分に吟味し、不明点等があれば納得いくまで検討しなければなりません。
(b) 早めの質問・相談
上場準備においては様々な会計上、経営管理上の疑問点・不明点が生じることになります。これらは発生の都度、監査法人に質問し、解決を図っていきましょう。また、イレギュラーな取引が発生した場合や、決算上の懸念事項についても、早めに監査法人に相談し、解決しておくことで、余裕をもって決算に臨むことができます。相談に際しては、事前に必要な情報を整理して会社の見解を検討しておくことで、相談をより効果的・効率的に実施することができることになるでしょう。
(c) 監査を意識した資料作成と準備
財務諸表監査は、会社が作成した決算資料を基に実施されます。このため、勘定明細等の決算資料は監査を受けることを前提に、増減理由等監査法人が質問すると予想される内容を予め織り込んで作成することで、監査作業がスムーズに進み、効率的に決算を終えることができるようになります。
また、監査法人には往査前に依頼資料リストを送付するよう要求し、事前に必要書類を準備することで監査開始後の作業負担を分散することができます。
(d) 経理要員の育成
監査法人からは、監査期間中様々な質問が寄せられます。質問等への対応は勘定科目ごと等に社内で担当者を明確にし、担当者に責任をもって対応させることで、経理要因の育成にもつながるものと考えられます。
(e) 良好な関係の構築
監査法人は、監査人ではあるが、会社の良きパートナーでもある。このため、日常的にコミュニケーションを行い、何でも相談できる良好な関係を築いておくことが重要です。