ストックオプション発行におけるべスティングとは

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ストックオプションをいつから権利行使できるのか、毎年どのくらい使えるのかが、ストックオプションに対するインセンティブとなります。会社としては、優秀な人にはずっと会社に残って働いてもらった方が良いので、ストックオプションを付与してすぐに全部権利行使出来たり、上場してすぐに株式を全部売却できたりしてしまうと、サッサと売ってパッパと辞めることができ、優秀な人材が上場とともに去りぬ、という可能性が高まります。それを防ぐための方法はないのでしょうか。

日本では税制適格ストックオプションは付与後2年間は行使できない条件になっていますから、最初に権利を行使するまでに2年という設計が当然多くなっています。その他、年間で1,200万円までの行使が税制適格の要件になっているのが、お国の作ってくれた制限というとことです。後は会社との契約で、毎年3分の1づつ3分割で行使可能にする、あるいは全部の権利を行使するのに3年から5年間の期間を必要とするとか別途定めています。

ベンチャー企業は、一般的に経営が不安定な未上場のときよりも、上場する前後からいい人材が入ってくるケースが多いものです。明日どうなるかわからないような企業にはそりゃ行きたくもないですよね。上場が見えてくれば、給料のもらいはぐれはないでしょうから、優秀な人材はやってきます。人材の中で、創業時のゲリラ的活動をするのが得意ではあるものの、上場企業のような規則でがんじがらめの、決まったことだけをきちんとやることには不向きの人がいます。こういう人は無理に上場企業に縛り付けず、今までの功績に経済的に報いて、退職してもらった方が会社のためになるという考え方もあります。ルーティンではやる気が起きず、パフォーマンスが下がりますので。まあ、そのような方は上場後、次の嵐を求めて転職活動をしているでしょうけれども。

このためにべスティングのスケジュールは株主総会で定める要項にいれるのではなく、会社と従業員等との契約で定めておいて、いざという時には、取締役会決議でべスティングのスケジュールを変更できるようにしておくのもよいです。

ちなみに要項にかかれたあるベンチャー企業のべスティングの条件についてみておきましょう。履歴事項全部証明書の記載例は次の通りです。

新株予約権者は、上記(4)により新株予約権を行使できることを条件に、平成26年2月1日、平成27年2月1日、平成28年2月1日、平成29年2月1日に、新株予約権の25%ずつが権利行使可能となる(以下、権利行使可能となることを「ベスティング」という。)但し、新株予約権者が当社又は完全子会社の取締役、執行役、顧問、使用人のいずれの地位も失った場合又は死亡した場合は、当該時点以降のベスティングは中止する。なお、ベスティングされる新株予約権の数については、新株予約権者に発行された新株予約権の数にベスティング割合を乗じて算定するものとし、1個未満の端数についてはこれを切り捨てる。また、4回目のベスティングにおいて、新株予約権者に発行された新株予約権のうちベスティングされていない残りの当該新株予約権も全てベスティングされるものとする。

これは、ストックオプションの割り当て後、最初の2年間は権利行使できず、2年後から6年度の4年の間に1年につき25%ずつ権利行使が可能になる設計となっています。

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