フリー・キャッシュ・フロー(FCF)
=EBIT×(1-実効税率)+減価償却費―資本的支出±運転資本の増減
↑今回はココのお話
NOPLATは会計上の損益をベースに算定されますが、会計上の損益の中にはキャッシュ・フローの伴わないものがあります。逆にキャッシュ・フローがあるにもかかわらず、NOPLATに影響を与えないものがあります。そのためにフリー・キャッシュ・フローの計算においては、それら影響を調整しなければなりません。
以上の表はフリー・キャッシュ・フローの計算にあたり、利益に調整を加える項目と加えない項目を分類したものです。キャッシュ・フローがあって、損益計算書に反映されている取引及びキャッシュ・フローがなくて、損益計算書に反映されていない取引は調整不要ですが、キャッシュ・フローを伴わない損益と、損益を伴わないながらもキャッシュ・フローがある項目についてはそれぞれ調整が必要となります。
キャッシュ・フローを伴わないものの、損益の計算に含まれてしまっている項目のうち、最も重要性が高いものは減価償却費になります。減価償却は固定資産の取得に要した支出を取得時点で一度に費用として認識しますが一定の期間にわたって費用配分することで損益計算を適正化しています。つまり、購入時にキャッシュ・アウトしていますが、そのあと費用化するときには計算上のモノであり、実際はキャッシュ・アウトしておりません。そのため、NOPLATに減価償却費を加算して、会計上の損益をベースに計算された金額をキャッシュ・フローをベースにした金額に修正するのです。
次に、資本的支出とは、固定資産に対する正味の支出額を指します。フリー・キャッシュ・フローの算定における資本的支出は、新規の投資額から既存の固定資産の除却や売却に伴い生じるキャッシュ・フローを控除した純額として算定されます。
減価償却費は固定資産の取得に要した支出を会計上の費用として配分したものであり、これを足し戻した金額は、固定資産の取得がない場合のフリー・キャッシュ・フローに相当sます。この状態化が資本的支出を控除することで会計上の損益をベースとしたNOPLATが、固定資産の取得や売却に係るキャッシュ・フローの影響を反映したフリー・キャッシュ・フローの金額に修正されることになります。