監査法人の選任

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

監査法人はいつ、どのように選んだらよろしいでしょうか。

(a) 監査法人の選任時期
上場に際しては、申請期より前2期分の監査報告書が必要になるため、上場申請期の直前々期の期首より前に監査法人を選任しておく必要があります。
遡及監査(例えば令和2年3月期の監査契約を平成31年4月以降に締結すること)は、禁止されているわけではありませんが、棚卸への立会手続き等過去に遡及して実施できない監査手続きがある場合で、他の監査手続きによっても十分な監査証拠が入手できない場合は、監査意見の表明ができなくなってしまうため、上場申請時期の見直しが必要になります。このため、申請直前々期の期首より前に監査法人を選任し監査契約を締結することが望ましいと言えます。
また、監査法人は会計監査以外に、上場準備に向けて、経営管理体制の構築のための課題抽出や助言等の各種サービスを提供しており、早期に監査法人のサービスを受けることは上場準備作業を効果的・効率的に進めていくうえでも有益です。

(b) 上場会社監査事務所名簿登録
日本公認会計士協会は、平静19年4月1日から上場会社監査事務所名簿登録制度を導入しました。上場会社はその社会に与える影響が大きいため、上場会社を監査する会計事務所・監査法人(以下「監査事務所」)の品質管理体制を強化し、もって公認会計士に対する信頼性を確保することを目的としています。
本制度では、上場会社の監査を実施している監査事務所に対して、名簿への登録を求め、事務所概要、品質管理システムの概要の開示を行っています。また、公認会計士協会による監査事務所への品質管理レビューの結果、品質管理システムに不備が認められた場合に、限定事項等の概要の開示や登録取消等の措置を行っています。
東京証券取引所において上場申請を行う会社の監査を行うには「上場会社監査事務所名簿に記載されている」又は「準登録事務所名簿に登録され、かつ、品質管理レビューを受けていること」が必要です。

(c) 実績・経験・ノウハウの重要性
上場準備作業は、範囲が多岐にわたり、かつ、専門性の高い作業となります。このため、公開準備作業を効果的・効率的かつ迅速に進めるためには、上場準備支援に関しての実績、経験、ノウハウを有する外部専門家の協力を得ることが重要です。監査法人の選任に当たっても、実績、経験、ノウハウを有する法人を選定することが重要です。
監査法人は、本来、監査により批判的機能を発揮するものですが、上場準備作業においては、指導的機能の発揮がより強く求められます。また、上場準備作業の困難さを理解・共有した上で二人三脚で課題の解決に取り組んでくれるような監査法人を選任した方が良いでしょう。
また、海外展開をしている会社は、海外子会社等の監査対応や内部統制整備も必要となることからグローバルネットワークを有している監査法人を選任することが必要となるでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*