キャピタルチャージ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

キャピタルチャージという言葉が何度か出てきていますので、こちらをもう少し掘り下げてみましょう。これは、無形資産を使用して利益を生み出す際に、当該無形資産以外に必要とする資産の使用度合いを費用として認識し、利益から控除します。キャピタルチャージは、使用したそれぞれの資産の価値を期待収益率に基づいて算定します。

資産のキャピタルチャージには、各資産を借用したと仮定した場合の各資産に対する使用料と、資産の陳腐化に対する設備投資としての買換えコストが含まれますので、それらを当該無形資産から獲得した収益から控除しなければなりません。

無形資産はそれ単体ではキャッシュ・フローを生み出すことができません。唯一、特許権やブランドをライセンスして、売上の一定割合をライセンスフィーとして獲得する方法はあります。通常は、その特許に基づいた製品を開発し販売することが必要です。そのときには会社のありとあらゆる資源を活用します。人的資源(開発・製造・営業等)、工場・機械設備(製品を製造)、会社そのもの(賃貸しているか自社所有かはともかく)、全てを活用してキャッシュ・フローを生み出しているのです。つまり、無形資産以外の資産も活用しているため、無形資産の評価の際には、それら別の資産で獲得した分を差し引いて考えなければならないということです。

一般に、無形資産評価におけるキャピタルチャージとは、評価対象無形資産がキャッシュ・フローを生み出すために企業内の他の資産からのフォローを受けることの対価として支払う使用料であるため、各資産に対する期待収益率を乗じることで算定します。

期待収益率の見積もりには、各資産の資金回収リスク、いわゆる流動性リスクを考慮する必要があるでしょう。流動性リスクが高いほど期待収益率は高いため、無形資産、有形資産、運転資本の順番に流動性リスクが高くなると考えます。特許権は中々売れません、不動産は買ってくれる人がいれば売れます。棚卸資産は同業者なら買い叩いてくれるかもしれません。現預金はそれそのものが現金です。このような順番です。

それぞれの期待収益率の考え方としては次のように考えられています。

運転資本:流動性が低いため、短期プライムレートを採用。

有形資産:流動性リスクが高いため長期プライムレートを採用。

     不動産等は例えば、不動産の投資利回りを用いる場合があります。

無形資産:評価対象会社の無形資産は評価対象無形資産以外の無形資産はないと仮定せざるをえません。複数あればそれを無形資産の束として評価せざるを得ないことが多いでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*