主幹事証券会社及び取引所との対応

(1) 主幹事証券会社との対応

(a) 有価証券の引受責任
上場時の募集・売出しに際して、上場準備会社は、幹事証券会社と引受契約を締結します。引受とは有価証券の募集・売出しに際し、当該有価証券を投資家に取得させることを目的としてその全部又は一部を取得すること(買取引受け)、又は、当該有価証券の全部又は一部につき他にこれを取得する者がない場合にその残部を取得すること(残株引受け)を言います。

幹事証券会社は引き受けた株式が売れ残り、これを抱え込むことになると、会社の財務内容を悪化させます。このため幹事証券会社は引き受ける株式が広く一般投資家が取得して良い銘柄であるかどうかを判断する必要があるのです。これを引受責任と言い、幹事証券会社はこれを果たせるだけの能力が必要となります。

(b) 公開引受部との対応
公開引受部は、監査法人と同様、上場準備においては様々なサポートをしてくれる信頼すべきパートナーです。上場準備に際して生じた様々な疑問点・不明点は発生の都度、質問・相談し、解決を図りましょう。また、日常的にコミュニケーションを行い、何でも相談できる良好な関係を築いておきましょう。
相談に際しては、事前に必要な情報を整理して会社の見解を検討しておくことで、相談をより効果的・効率的に実施することができます。しかし、助言や質問の回答についてはこれを鵜呑みにすることなく、会社として十分に吟味し、不明点等があれば納得いくまで検討しなければなりません。

(c) 審査部との対応
審査部は、公開引受部と異なり、投資家保護の観点から中立的な立場で審査を行います。短期間で審査部からの多くの質問に対する回答をしなければならないため、役割分担を明確にし、期日管理を厳密に行うとともに、各回答間や回答と他の上場申請書類との整合性に留意することが必要です。また、書面での質問回答の他ヒアリング等も行われますが、いずれも「会社を理解してもらう」という姿勢で丁寧に対応しましょう。

(2) 取引所との対応

(a) 上場申請における対応
上場申請時期は、申請期における業績の動向、株価の動向等を勘案しながら主幹事証券会社と相談し決定することになります。
上場申請に当たっては、多くの提出書類の準備が必要であり、抜けの内容に周到に準備しましょう。また、監査報告書や監査概要書など外部から予め入手して置く必要な書類もあるため、先方における発行スケジュールを勘案して、余裕をもって日程を組むことが重要です。

(b) 取引所に対する審査対応
取引所の審査は、各取引所によってポイントや期間が多少異なりますが、ほとんど主幹事証券会社の審査と同じです。従い、審査対応における留意点も主幹事証券会社の審査対応と大きく異なる所はそれほどありません。
なお、主幹事証券会社の審査が終了した段階で、一段落して緊張感をなくしてしまってはなりません。また、上場準備に関して特に確認したい事項等について、取引所に事前相談を行うことができます。相談は、通常、主幹事証券会社を窓口として行われ、この際、取引所と主幹事証券会社の双方が認めた場合は、上場準備会社もこれに同席することになります。

上場準備責任者の資質とは

上場準備責任者は、証券会社、取引所、監査法人等社外の交渉窓口となるとともに、社内外における様々な調整を行う必要があります。このような社内外の調整を行うために、上場準備責任者は以下のような人材が望ましいと言えるでしょう。

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決算短信による開示

上場会社の決算情報は、投資家の投資判断に重大な影響を与える様々な会社情報の中でも最も基本的な情報の一つであり、少なくとも必要最低限な情報を公表することが必要とされています。

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取引所の開示制度

上場会社には、投資判断等に影響を与えると考えられる決算情報や増資、合併等の決定事実や発生事実、その他重要な情報等、最新の会社情報を迅速、正確かつ公平に株主や一般投資家に伝えることが強く要請されています。

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M&A及びグループ再編が利益計画に及ぼす影響

上場準備会社は、上場に向けて将来の利益計画を策定し、これを基に予算の策定、予算実績差異の分析、そして分析結果に基づく対応策の検討・実施というPDCAサイクルを展開します。M&Aやグループ再編は、グループの業態及び将来の業績に多大な影響を及ぼす可能性があるため、その影響は慎重に検討しなければなりません。

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