M&A及びグループ再編が利益計画に及ぼす影響

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上場準備会社は、上場に向けて将来の利益計画を策定し、これを基に予算の策定、予算実績差異の分析、そして分析結果に基づく対応策の検討・実施というPDCAサイクルを展開します。M&Aやグループ再編は、グループの業態及び将来の業績に多大な影響を及ぼす可能性があるため、その影響は慎重に検討しなければなりません。

なお、M&Aやグループ再編により、税務上のメリット・デメリット、税効果会計等、複雑な検討項目が生じるケースが多くなっています。さらに事業年度中に合併、会社分割等の企業再編を実施した場合には、過年度との比較可能性の観点から、連結財務諸表及び財務諸表に反映されていない期間の業績等についても追加的に開示する必要が生じます。従いまして、利益計画の策定に際して、専門家の関与を検討することが必要なケースもあると考えられます。以下、利益計画に重要な影響を及ぼすと考えられる事象について例示しましょう。

(a) M&Aにより新規事業を獲得した場合
M&Aにより新たな事業を獲得した場合、当該事業のグループ業績に対する効果を慎重に検討しなければなりません。特に以下の点については、以降の会計処理に影響を及ぼすため、注意が必要です。

(M&Aにより新規事業を獲得した場合の留意点(例))
・グループ化入りした後、当初赤字が見込まれる場合は、その期間(何年後に黒字化するか)
・暖簾が生じる場合、その効果が及ぶ期間
・グループにシナジー効果が生じる場合、その影響(コスト削減要因等)

例えば、100%子会社化した場合、個別財務諸表上は、当該子会社の業績によっては株式の減損の要否の検討が必要になる。また、のれんは減損会計の対象となるため、その償却期間を慎重に決定しなければなりません。

(b) 不採算部門をグループから切り離した場合
不採算部門をグループから切り離した場合に、グループのどのコストが不要となるのか、逆に、コスト増加要因はないのかといった点を慎重に検討しなければなりません。

(c) 持株会社制に移行した場合
持株会社制に移行して上場する場合、持株会社は上場会社として個別財務諸表を開示する必要があります。一般に持株会社は、子会社からの受取配当金、不動産賃貸収入、経営管理手数料等を営業収益とし、これらが分配可能利益を構成することになります。不動産賃貸原価や経営管理に係る人件費等のコストを把握し、これに見合う収入を設定する必要があるのです。これらの水準が適切か否かについては税務上も問題となりやすい項目であるため、特に慎重に検討するしなければなりません。

(d) 連結納税制度を適用する場合
M&Aやグループ再編の後、連結納税制度を適用するケースがあります。国内の100%資本関係を有するグループ内で損益が通算され、税負担が軽減できる可能性もあるため、これについての影響も利益計画に反映させなければなりません。

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