上場準備責任者は、証券会社、取引所、監査法人等社外の交渉窓口となるとともに、社内外における様々な調整を行う必要があります。このような社内外の調整を行うために、上場準備責任者は以下のような人材が望ましいと言えるでしょう。
(a) 社内で相応の権限を有し、かつ実行力がある。
(b) 各種調整をはじめとした株式上場の準備作業を効率的かつ迅速に進めるために専任のリーダーであることが望ましい。
(c) 社内に精通し、経験豊かな人材をできるだけ社内から選ぶ(状況に応じて外部から適任者を招聘することもある)。
(d) 社内の人間関係(特にキーマンを捕まえて巻き込むことができることが重要)を見極めながら粘り強く調整し、準備作業を推進するとともに、証券会社や取引所の対応を行う能力がある。
(e) 何が重要で何を急いでやらなければならないか、そのためにはどうすればよいか等について適切な判断ができる。また、困難な問題から先に取り組むことができる。
(f) セミナーに参加したり、監査法人等と勉強会と実施したりして、必要な知識を身に着けていくことができる。
また、上場準備における社内関係者の役割は以下の通りです。
社内担当者 | 社内業務 | 上場関連業務 | 監査法人関連業務 |
社長(統括責任者) | 上場準備チーム編成 取締役会運営見直し 役員見直し | 幹事証券の選定 資本政策の方針決定 上場市場の決定 上場価格決定とロードショー対応 | 監査法人の選定 |
上場準備チーム | 利益計画取りまとめ 予算制度見直し 関係会社の整備 役員との取引見直し | Ⅰの部、Ⅱの部作成 有価証券届出書作成 引受審査対応 上場審査対応 | J-SOX準備 |
経理 | 月次決算早期化 会計処理見直し | Ⅰの部、Ⅱの部作成 有価証券届出書作成 | 会計監査対応 コンフォートレター対応 |
人事・総務 | 組織見直し 人事制度の見直し 従業員持株会の設置 規程見直し | ||
情報システム | 情報システム見直し | ||
営業・購買・製造 | 業務フロー見直し 原価計算見直し プロジェクト管理見直し | ||
内部監査 | 規程の整備 内部監査の実施 |