従業員持株会は、設立に関し、監督官庁への届け出は不要です。会社の規模にもよりますが、持株会の設立には、概ね2か月、初回拠出までは3か月程度を要するものと思われます。以下、手順を見ていきましょう。
1.設立担当者及び発起人の選任
持株会設立事務の担当者を決定します。設立後、事務局となる部署からの選定が一般的です。発起人は管理部門(総務、管理、人事、経理等)の管理職クラス等から選任されることが多くなっています。
2.準備項目
(a) 規約・運営細則(案)の作成
名称、会員の範囲、拠出金額の上限、奨励金付与率等を決定します。
(b) 設立スケジュールの作成
(c) 発起人会の開催
(d) 規約・運営細則の承認
規約・運営細則の内容を承認します。
(e) 役員の選任
持株会の役員(理事長、理事、監事)を選任します。発足時の役員は発起人の中から選任されることが多くなっています。発足後の役員の選任は、規約・運営細則の定めるところにより行うこととなります。
(f) 従業員持株会と会社間の覚書、協定書の締結
[覚 書] 給与控除の依頼、奨励金(事務委託手数料を含む)、その他従業員持株会の運営に必要な経費等の負担
[協定書] 給与控除に関する協定
(g) 従業員持株会・事務委託証券会社との事務委託に関する契約書の締結
(h) 募集スケジュールの確認
(i) 発起人会議事録、設立契約書等の作成
3.従業員持株会理事長印の調整
理事長印は、契約書、議事録等への押印、銀行口座開設の際に必要となることから早めに作成する必要があります。
4.会員募集
募集方法としては、対象者に対する説明会の実施、募集パンフレットの配布等があります。
5.従業員持株会銀行口座の開設
従業員持株会は金銭の出納を管理するため、従業員持株会専用の銀行口座を開設する必要があります。従業員持株会銀行口座は、会社からの給与天引きによる拠出金及び配当金の受入、また、事務委託証券会社から送金される退会者の清算代金の振り込み等全てこの口座を利用することとなります。
6.従業員持株会証券口座の開設
未上場時には拠出金をMMF等で運用するために、上場後は株式を買い付けるために、事務委託証券会社に従業員持株会口座を開設する必要があります。
7.給与控除準備
奨励金の付与による給与明細の一部変更等があるため、給与控除システムの変更準備が必要です。
8.入会届出書の整理
会員より徴収した入会届出書の内容確認、会員名簿の作成をした後に、事務委託証券会社へ入会届出書を拠出し、データ登録を依頼します。
9.拠出金の送金
実施会社は給与支給日に各会員が申し込んだ金額の天引きを行い、会社から支給される奨励金と合わせて、持株会の拠出金として従業員持株会銀行口座へ送金します。未上場会社の持株会はMMF等の買い付けを行います。
10.会員データの受領
事務委託証券会社は事務処理終了後、会員データなどを作成し、事務局へ提出すします。事務局は内容確認を行い、データ管理を行います。