ヒストリカル・リスクプレミアムの算出方法

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ヒストリカル・リスクプレミアムとは、過去の株式市場の平均収益率からリスクフリー・レートを控除することで算出したリスクプレミアムのことです。過去の実績を取るために、観察機関によって大きく変わります。例えば1964年から2013年までの過去50年間を見ると6%ですが、過去20年とするとマイナス2.4%となってしまいます。

長い期間を参照すべきとの考え方もありますが、日本の場合、過去50年の内には高度経済成長期を含んでおり、今の成熟期にある日本に妥当する考え方かというと疑問を生じます。実際のところ、客観的に市場リスクプレミアムを過去のデータから算出するというのは困難であり、4~10%のレンジで見積もりがなされています。

外部のデータとしては、イボットソン・アソシエイツで日本のエクイティ・リスク・プレミアムを年4回提供しています(Japanese Equity Risk Premia Report)。1つで38,000円、年四回定期購入で148,000円ですから、決して安くはありませんが、最も信頼できるデータの一つです。算定する上での貴重な考え方がありますので、以下記載します。

(1) 1つの長期経済循環(60年)における株式リスクプレミアムの動きを追っています
「・・・よく考えると上りの前半と下りの後半の1サイクル・・・この20-30年単位のスーパーサイクルは第2次世界大戦後たった1回しかわれわれは経験していないのである。次の将来60年間をこの一つのサンプルだけから予測するのは無謀であろう。・・・より高頻度のサイクルを示す別の変数-株式リスクプレミアムの動きを追っていくことにする」

(2) 過去60年の株式の平均株式実質リターンと超過収益率(リスクプレミアム)
長期経済循環(1956-2015)の株式の平均株式実質リターンは、米国6.9%、日本7.1%、超過収益率(リスクプレミアム)は、米国4.3%、日本5.5%である(図表2基本統計量ヒストリカル・リターン)。前半を「高成長・高インフレの高温経済(hot economy)」、後半を「その反対(低成長・低インフレ)の低温経済(cold economy)」としている。

なお、ヒストリカル法には次のような問題点があります。
(a) 本来は事前な概念であるリスクプレミアムを事後のデータで代用すること
(b) 現時点の推計値として過去の平均値は適当ではない
(c) 日本の過去の超過収益率(=リスクプレミアム)が高かった(後半に低くなっている)原因は、リスクプレミアムが縮小してきたからだとすれば、あるべき将来値は過去の平均値より低くなる可能性がある

その他、市場株価に、投資家の求める市場リスクプレミアムがきちんと反映しているかというのが、疑問の一つとして上げられるでしょう。

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