非流動性ディスカウントやコントロール・プレミアム

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非上場企業の株式評価のときには、必ずと言っていいほど非流動性ディスカウントが出てきます。これは、非上場企業の流動性の低さで売買成立の困難性を評価に反映させるために、株式評価額の一定割合を減額することを言います。非上場企業の株式は、市場を通じての売却が不可能であり、相対取引を通じて行うことになります。

売却相手を見つけるのが大変で中々売れないことを価格に反映させるのです。買い手を探すコストだけでなく、価格交渉にもコストを要します。これは売却に係るコスト負担を株主価値から控除する交渉の結果から生じたもので、理論的な算定によって確定させられるものではありません。このようなことから、非流動性ディスカウントは、評価実務上、交渉で織り込むべき水準感を統計データから推計して提供することになります。

非流動性ディスカウントは、非上場株式の売却に係る追加的なコストであって、このコストは各企業に置かれた状況や、株主の状況によって影響を受けます。これらの状況を踏まえた当事者間の交渉で非流動性ディスカウントは決まります。しかしながら、日本においてはこのような調査データはありません。アメリカの方であれば、経験的に推定価値の20%~30%に設定されることが多いとの見解があります。日本では、国税庁の財産評価基本通達における類似業種比準方式において、30%(中会社は40%、小会社は50%)のディスカウントを行う取り扱いを採用しておりますので、このような税務上の扱いを参考にして、非流動性ディスカウントを30%と設定する事例が多く見られます。

逆に非流動性ディスカウントを考慮すべきでないケースとしては、マネジメント・バイアウトが考えられます。これらの場合では、少数株主は株式売却による投資回収を望んでいないために、株式売却を前提とした非流動性ディスカウントを考慮すべきではないと考えています。

逆に、コントロール・プレミアムと言いまして、M&Aを行う際の企業評価において、対象株式の議決権の過半数や3分の2以上を取得しようとする場合に、通常の取引価格に加えて考慮される経営支配権に対する上乗せ価値のことを言います。M&Aの場合、支配株主が変わることで経営体制が刷新され、新たな戦略を前提とする株主価値が、それ以前の経営体制下における株主価値を上回ることが期待されます。シナジー効果の期待の反映でもあります。

コントロール・プレミアムを評価する確立された理論もまたありません。また、経営支配権に対する上乗せ価格が何でも認められるかというとそうではなく、経営者が個人的に社用車を乗り回していたり、高級オフィスに社長室を構えたり、道義的な問題のある利益追求を背景としているような場合には、これらの効用を根拠とするコントロール・プレミアムは採用されるものではないと考えられています。

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