ストックオプション設計に必要な会計及び税務知識

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ストックオプションには、会計や税務の知識が不可欠です。以下詳細に見ていきましょう。

(a) 会計

ストックオプションは上場企業では金融工学で計算したオプション価値を費用計上する必要がありますが、未上場のベンチャー企業では、発行時の「時価」以上の行使価格で発行する場合、費用計上をしなくてよいことになっています。しかし上場した場合には、ストックオプション発行する場合、費用計上が必要になります。

企業会計基準第8号では「ストックオプション等に関する会計基準」について記載されています。ここで「ストックオプションを付与して従業員からサービスを取得する」という考え方であるため、オプション価値を計算して費用として処理することになります。未上場のベンチャー企業については、同じく未公開企業における取り扱いとして、「未公開企業については、ストックオプションの単位当たりの本源的価値の見積もりに基づいて会計処理を行うことができる」としています。

上場してしまうと利益を投資家から要求されますので、費用計上がしづらくなりますし、既存株主が保有する株式の価値が希薄化することにつながるので、ストックオプションの発行を望ましくは思われません。そのため、上場した後ではストックオプションの発行が極端に少なくなる企業も多いのです。

(b) 税務の基本

ストックオプションの条件が異なると、税務上の取り扱いが大きく異なることがあり、会社としての負担は変わらなくても役職員間で税金のために大きな不公平が生じ、やる気をそぐことにもつながります。しかし彼らの不公平感を解消するために会社としての負担がそれだけ特定の個人に増やさなければならないというのも不合理な話です。

まず法人から受け取るものは「時価」が原則となります。これは日本の所得税法の原則であり、物やサービスは無償で受け取っても、受け取った時価を所得として課税することとなっています(所得税法第36条)。ストックオプションは金融工学で計算されたオプション価値を持つ権利ですから、本来、役職員が会社から無償でストックオプションを受け取るときには、その時点でのオプション価値に対して所得税が課されるはずなのですが、ここで所得税法の例外規定があります。株式が取得できる権利の課税はもらったときでなく、権利を行使したときの時価で考えた所得に対して課税されることになっています(所得税法施行令第84条)。つまり、役職員であれば、給与所得、外注先であれば事業所得等になります。さらに例外があり、特定の要件を充たすストックオプションにつては、付与したときも行使したときも非課税で、売却したときにはじめて課税されることになっています(租税特別措置法第29条の2)。これを税制適格ストックオプションと言います。基本的にベンチャーは税制適格オプションになるかどうかで発行を検討することになると思います。

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