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ストックオプションは良い人材を確保するために行うことですから、経営者が考えなければならないことは、人員計画、収支計画、そして資本政策に合わせて、インセンティブになるような制度設計をすることです。それ以外のところは正直、専門的すぎて、外部の専門家に依存しなければできないことです。ではその深淵なる世界をのぞいてみましょう。
(a) 会社法
会社法では新株予約権と記載されています。細かいところは弁護士や司法書士に任せてしまった方がいいです。あとはググれば、契約書とか当期に必要な議事録等を入手できます。日付や株価、個数等を入れれば、自分で何とかならないでもないですが、何かあったらトラブルのもとになります。しかも会社法に沿ったものでないと、登記ができなくなる可能性があります。法律のことなので弁護士にと言いたい所ですが、登記が絡みますので司法書士でもよいでしょう。但し、ストックオプション実務に詳しい司法書士に頼みましょう。
(b) 金融工学
ストックオプションの価値を計算するにあたっては、金融工学を知らないとできません。厳密なお話をすると、ベンチャー企業のストックオプションですと、不要な場合もあります。と言いますのは、未上場のベンチャー企業で従業員に発行する場合は、無償のストックオプションがほとんどです。しかも税務上の規則に則れば、従業員がストックオプションを無償でもらっても従業員の給与とその場で考えなくてもいいので、このような計算は不要となります。但し、ベンチャーが将来上場した後にストックオプションを発行するときには、ストックオプションの価値を計算して、ストックオプションを費用計上しなければならず、未上場であっても、資本政策を矯正する場合には、有償で付与する必要が出てきますので、このような場合に金融工学を用いてストックオプションの価値を計算する必要が出てきます。
(c) 上場証券実務
上場後、ストックオプションを行使して取得した株式を売却するときの実務については、インサイダー取引規制との絡みがありますので、慎重に対応しなければなりません。この点については証券実務に詳しい弁護士あるいは証券会社に尋ねるべきです。ストックオプションを発行している上場会社では、年4回あるいは年1回等、決算発表後の特定の時期だけに行使や売却可能としています。また、大口の売却をする場合には、場外で行う大口相対取引であるブロックトレードを証券会社に手配する必要があります。この辺は上場が見えてきた段階で考えればよいので、設立時から知っておく必要はありません。そんなことよりも日々の経営をしっかり行って、売上を上げ、利益を出し、サッサと上場してしまいましょう。
(d) 人事労務
ストックオプションは役員や従業員が頑張るインセンティブとして付与するものですから、従業員間のバランスや初期に入社してきた人、実力がある人等バランスが必要になります。上場したときに社内の特定の人だけが大金持ちになって、その他には何もないというのでは、社内の雰囲気も非常に悪くなります。もちろん社長や、初期からの役員であればそれでもいいですが、従業員にも謝礼くらいは渡さないと。会社が上手くいったとき、いかなかった時を考えて、どういう局面でも困難に立ち向かって乗り切れるようにイメージをして付与することが大切です。