DCF法で用いる事業計画

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フリー・キャッシュ・フローを算定する場合、合理的に予測できる可能な限り長期間の事業計画を算定することになります。大半の企業にとっては数年くらいの予測しかしようがないでしょう。ましてやベンチャー企業であれば今年1年の予測でも困難ですらあります。しかし当たらないから予測しなくていいというわけにはいきません。

「思考は現実化する」とはナポレオン・ヒルの言葉ですが、まず予想しなければ現実化さえしない、のがリアルな話だと思います。起業家はまず未来を思い描き、それに向かって実行することが大切です。企業価値評価に必要な事業計画書の期間に合わせるわけではないですが、予想も3~5年くらいはしておいた方がいいでしょう。予算策定のところでも論じますが、予算を下回った場合には、来期の予算を下方修正すればよいだけの話です。

3~5年程度の中期事業計画を作成した場合、当該事業計画の対象年度終了後も高い成長が見込まれるケースもあります。このような場合に、中期計画以降の価値を一律に継続価値として求めた場合には色々と問題点が生じます。実はこの継続価値が企業価値に大きなウェイトを占めることが多いのです。成長性を見込みすぎると高くなり、逆に成長性を過小評価すると、企業価値自体の過小評価につながる可能性があります。

成長性の考え方は非常に難しいですが、通常は、算定の一定期間については、属する業界の平均的な成長率か、あるいは自社で客観的に提示しえる成長率を用い、算定期間終了後は、マクロ経済の長期的成長率やインフレ率の長期的な水準等、持続可能な成長率を仮定した方が客観的とみなしてもらえると思います。

評価対象企業の属する業界の成長率は公表データ等から算出したり、アナリストの予測を用いたりします。直近である業界が他の業界に比較して高い成長を実現している場合でも、その成長率が維持される期間は決して長期間にはなりません。なぜならば、ある業界が経済全体に比べて高い成長を実現している場合、その業界に新たな企業が参入して競争原理が働き、その産業の収益性は経済全体の平均的な収益率に収れんする傾向があります。これもまた経済、と言ったところです。永遠にずっと儲け続けるというのは難しいのです。

また、フリー・キャッシュ・フローを求めるにあたり、最低でも予想損益計算書は必要になります。企業によっては、予想貸借対照表まで作成することが費用対効果に合わないこともあります。そもそも貸借対照表は極めて予想するのが難しいものです。算定に当たって、減価償却費、設備投資、運転資本増減が売上高などの損益計算書の主要項目に比例して増減するものとみなすことが、思考経済に資すると思われます。

もちろんこれらが比例して増減するものとみなして、逆算して予想貸借対照表を作り出すのはそれほど難しくはありません。スプレッドシートで容易にできます。但し、専門家ならば、と付け加えておきましょう。その他、設備投資の増減も関連するので設備投資計画もあると望ましいです。

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