負債資本コストの算出法

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負債資本コストの算出方法は、(a)評価対象企業の格付や社債スプレッドから推定する、(b)評価対象企業の過去の借入履歴から推定するという二つの方法があります。以下それぞれ見ていきましょう。

(a) 評価対象企業の格付や社債スプレッドから推定する方法
この手法は、評価対象企業やその企業が発行している社債の格付けが類似企業のものと似ており、市場で類似企業の社債利回りを知ることができる場合に用いられます。各企業の格付けはS&Pやムーディーズ、いわゆる社債格付け会社より得ることができます。また、各社債の利回りはロイターやブルームバーグ等の端末から情報を得られます。
類似企業と評価対象企業の格付けやそれらが発行する社債の格付けが等しい場合、これら2社の社債利回りからリスクフリー・レートを引いた金利差(いわゆるスプレッド)は、ほぼ等しいと見積もることができますので、評価対象企業の借入れコストは類似企業の金利スプレッドにリスクフリー・レートを加えたモノに類似すると考えることができます。

(b) 評価対象企業の過去の借入履歴から推定する方法
現実問題として、ベンチャー企業等の未上場企業では、上場会社の社債格付けと同視することも難しいのが現状です。社債を発行できない企業も多いことでしょう。そのため、評価対象企業が実際に過去に支払った支払利息と残っている負債額の推移から推定する方法があります。この方法の利点は、会社のデータから推計できるため、その会社の笹井が市場に出回っていない場合、もしくは会社やその会社の社債が格付けされていなくても、借り入れコストを見積もることができます。この手法での問題点は次の二つです。

(1) 財務諸表上の支払利息と有利子負債残高から計算される借り入れコストは、過去の信用リスクを反映したものであり、現在の会社の状況や市況を織り込んでいない。
(2) 金利の期間構造が明示的に考慮されていない。これは企業の有利子負債の調達期間には様々なものがあり、それらを平均して求めた借り入れコストは、特定の期間を前提としたものではなくなります。その結果、企業が短期借り入れを借り換えることで資金調達している場合には、株主資本コストの前提となっているリスクフリー・レートよりも借り入れコストの方が低い結果をもたらす場合があります。リスクのないレートよりも低いレートというのは論理的に矛盾しています。

以上の問題点がありながらも、借り入れコストの取りうる範囲は、株主資本コストと比べてはるかに狭く、金利の期間構造で誤差が生じても結果に重要な影響が生じないため、財務諸表上の支払利息と有利子負債の関係から推定する方法が実務上広く採用されています。

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