リスクフリー・レートの算出法

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株主資本コストの算出にはベースとなるリスクフリー・レートを求める必要があります。読んで字のごとく、リスクがないレート、そこにリスクが加わることによってレートが上がるとなれば、思いの外、基礎となるリスクフリー・レートが重要になってくるのです。

このリスクフリー・レートは比較的簡単に情報を得ることができます。ロイター、ブルームバーグ、証券会社や日本証券業協会のウェブサイト等に記載されています。といいますか、リスクフリー・レートで調べてもそのウェブサイトに掲載されておりませんので、長期国債のレートを採取することになります。DCF法では企業が長期的に生み出す利益を現在価値として割り引くという考え方がありますので、一般的には長期国債がリスクフリー・レートに適していると考えられています。実務上は10年長期国債のレートが使われています。

リスクフリー・レートは、投資家が確実に期待収益率を得られる資産のレートです。リスクがないというためには、デフォルトリスクがないこと、そして再投資レートに不確実性がないことが前提となります。投資したらほぼ返ってくる、ということですが、それは日本国債などに当たります。ここで利付債となると満期までに受け取るクーポンの再投資による利回りが金利変動の影響を受けてしまいますので、ゼロクーポンの国債利回りが一般に用いられています。とはいえ、株主資本コストの算出を行う上では利付債もゼロクーポン債もその利回りの差は誤差ですから、どちらを用いてもそれほど問題ではありません。

厳密には、金利は投資期間の長短に応じて変動する性質を持っているために、理論上は将来の各機関におけるスポット・レートを見積り、それぞれの時点に対応したリスクフリー・レートを算出して割引率に反映させるべきでしょうが、各期間のスポット・レートを算出することは、企業が半永久的に存続することを前提としているため事実上不可能です。そのために、評価時点における長期国債利回りを参照して、それをリスクフリー・レートすることが実務上行なわれている方法です。

金利の期間構造の違いにより短期利回りは適用しづらく、20年以上の超長期の国債についてもインフレ率や流動性の低さでバイアスがかかっている可能性があります。そのため、CAPMにおけるリスクフリー・レートとしては10年国債利回りが用いられています。

また、リスクフリー・レートの見積もりで過去の平均値を取る場合もありますが、異常値を排除する観点からすれば、株式の収益率とは異なって、変動幅は非常に小さいために平均値を求めて変動を平準化する意義はあまりありません。結論としては、株主資本コストの算出におけるリスクプレミアムと合算するリスクフリー・レートは過去一定期間の平均値ではなく、評価基準日の現在地を用いれば済みます。

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