関係会社整備の事例

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関係会社の整備は一般的な事例というものはなく、会社の置かれた個別に状況等により対応方法は異なりますが、大きく分ければ、関係を解消するか、継続するかの選択に集約できるでしょう。

1.関係を解消した事例(関連会社の売却)

(状況)
上場申請会社S社はB社の株式を20%所有。B社はS社が行う事業とは無関係の事業を展開(C氏の家業のための会社)。S社の代表取締役A氏はB社の役員には就任していなかった場合。

(ポイント)
(a) B社はS社の関係会社に該当するか
上場申請会社はB社の株式を20%所有しているので、関連会社であり、関係会社に該当します。

(b) 関係会社に該当する場合、存在に合理性(事業上の必要性)はあるか
B社はS社が行う事業とは無関係の事業を展開しており、存在に合理性(事業上の必要性)があるとは認められませんでした。また、出資の経緯もB社の運転資金が不足したために、出資の形で資金を融通したというものであり、合理的に説明ができるものではなかったため、その関係を解消する必要が出てきました。

(c) 子会社との関係を解消する方法はどうするか
B社との資本関係の解消は外部への株式の売却、合併、清算等が考えられます。しかし、合併については、B社の事業の内容から却下され、清算についてもB社はC氏の家業を営んでいたため、現実的ではないと判断されました。そこで売却先を見つけることになりました。

2.関係を継続した事例(100%子会社化)

(状況)
S社とB社、C社、D社はいずれもA氏一族のプライベートカンパニーであり、それぞれの会社が製品の企画・営業、デザイン、製造、流通という機能別に分業する体制になっており、4社で一体として事業を展開していました。その中で企画・営業を担当していたS社を申請会社として上場させる計画となった場合。

(ポイント)
(a) B社、C社、D社は関係会社に該当するか
上場申請会社はB社、C社、D社の議決権の過半数を所有しているため、子会社であり、関係会社であると判断されました。

(b) 関係会社に該当する場合、存在に合理性(事業上の必要性)はあるか
B社、C社、D社はS社が展開する事業のサプライチェーンの重要な役割を担っており、存在に必然性はあると判断されました。しかし、持分割合が100%となっていないため、B社、C社、D社において計上される利益は上場申請会社S社に吸い上げられることなくグループ外部に流出していく状況であり、資本関係の整理が必要となりました。

(c) 関係を継続する場合、その方法はどうするか
A氏、B氏、C氏の持B社、C社、D社の株式をS社が全て買い取るか、もしくは株式交換を実施し100%子会社化する方法が考えられました。A氏、B氏、C氏はいずれも現金による買取を希望していました。しかしS社には相当の資金がなく、また外部からの借入が実行できない状況でしたので、一部の株式についてのみ現金でS社が買い取り、残りについてはS社株式との株式交換によりB社、C社、D社を100%子会社化しました。

(d) 取引の整備、管理体制の整備はどうするか
上場準備を進めるうえで、S社はB社、C社、D社に対する管理体制を整備する必要が出てきました。そして管理担当部署の決定、関係会社管理規程の整備、子会社からの報告体制の整備、子会社における会社制度の整備や経理担当者の人材補充を行いました。

また、取引関係についても、取引を行う合理性(事業上の必要性)について検討を行い、不要な取引については解消します。事業遂行上必要な取引については、取引条件を見直し、契約書を作成した上で、恣意的な利益操作ができないようにします。そして、これらの子会社と新規に取引を開始します。又は既存の取引条件を見直す際には、必ずS社の取締役会において承認を得なければならない体制としました。

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