内部監査における上場準備の留意点

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内部監査制度は上場直前期1年間、上場後と同じレベルで実施されていることが望まれます。そのため、上場以前の早い時期から組織化し、仕組みを整備しておかなければなりません。上場準備の過程において留意すべき主な事項を要約すると以下の通りになります。

(a) 内部監査部門の独立性

上場審査上、内部監査部門は原則として独立した部門でなければなりませんが、規模の小さい会社では、独立した部門を設置していない場合でもやむを得ないケースがあります。但し、このようなケースにおいても、被監査部門に対しての強い権限及び業務の独立性を確保する必要があります。

(b) 内部監査専従者の配置

内部監査部門には、原則として内部監査専従者を配置することが必要す。その人数が少ない場合には、被監査部門も業務内容によって他部門の従業員を臨時的に追加して実施する方法が考えられます。特に内部監査において必要となる会計やITに関する知識を有する従業員は、会計やITの専門部署に優先的に配置されるケースが多く、内部監査に際して、これらの従業員が支援できる体制を整えておくことは重要です。また、内部監査専従者を配置することができないケースであっても、内部統制委員会のような委員会を設置し、被監査部門から独立した者が相互にチェックできる体制を適切に整備することで、実効性のある内部監査を実現できる場合には、上場審査上、これが認められる可能性もあります。

なお、上場準備の段階で社内に内部監査の知識や技術を持つ人材を有することは稀ですし、内部監査に熟練した専門家等を採用することも一つの方法でありますが、導入後、しばらくの間は、社内の業務を幅広く把握し、被監査部門の従業員とスムーズなコミュニケーションを図ることができる人材を配置する方が、実効性のある内部監査を実現しやすいことも検討すべきでしょう。

(c) 内部監査に対する社内の理解

内部監査は不正・誤謬を発見することも目的の一つですが、発見された問題点を見直すことで業務の効率化や合理化に役立つこともあります。

実効性のある内部監査を実現するためには、内部監査を単に上場のために必要となる形式的な活動と捉えるのではなく、社長自らがその重要性や効果を認識し、積極的にこれを社内に発信することが重要です。

内部監査を受ける側は、日常業務に加えてこれに対応しなければならないため、通常は非協力的になるケースも多いと思われます。社長あるいは被監査部門の担当役員等が従業員にその重要性を伝達し、十分な協力の下、内部監査を実施できる環境を整備することが必要です。

(d) 関連諸規定の整備

内部監査では、被監査部門が規定やマニュアルに従って業務を遂行しているか否かについてチェックされます。従いまして、内部監査実施前の時点で、各部門が従うべき規定やマニュアルが整備・運用されていなければなりません。また、内部監査自体についても内部監査規程やこれを具体化したマニュアル、手続書等を整備し、内部監査担当者の能力等に過度に依存せず、客観的に必要十分な手続きが実施されるように準備することが必要です。

(e) 関係会社に対する内部監査

上場準備会社に子会社・関連会社がある場合、それぞれの会社において内部監査制度を設けることが事実上不可能、又は非効率と思われます。各関係会社の重要性やリスクについて十分に検討し、親会社の内部監査担当者がこれらの会社に対して監査を実施するか否かについて事前に検討した方がよいでしょう。

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