種類株は何でもかんでも発行できるというものではありません。きちんと規則を押さえておきましょう。
(1) 新規上場の類型
議決権種類株式は以下の4つの類型のみ上場可能です。
既上場会社 |
新たに無議決権株式を上場させることが可能 |
普通株式+無議決権株式 |
新規上場会社 |
無議決権株式のみ上場させることが可能 |
無議決権株式 |
普通株式と無議決権株式の並行上場が可能 |
普通株式+無議決権株式 |
|
議決権の少ない株式のみ上場させることが可能 |
議決権の少ない株式 |
※新規上場時に無議決権株式のみを上場させた会社が、上場後に追加で普通株式を上場させることは当面の間は認めず、今後の検討事項となっているので、資本政策には十分に留意する必要があります。
(2) 上場要件
議決権種類株式の上場審査では、従来の内国株券等に関する審査に加え、議決権種類株式のスキームが株主の権利を尊重したものであるかが審査されます。以下の要件をすべて満たした場合、「株主の権利を尊重したもの」として取り扱うとされています。
- 極めて少ない出資割合で会社を支配する状況が生じた場合に無議決権株式又は議決権の少ない株式のスキームが解消できる見込みのあること。
- 異なる種類の株式の間で利害が対立する状況が生じた場合に当該新規上場申請にかかる内国株券等の株主が不当に害されないための保護の方策を取ることができる状況にあると認められること。
- 当該新規上場申請に係る内国株券等の発行者が支配株主等との取引を行う際に、少数株主の保護の方策を取ることができる見込みがあると認められること。
- 当該新規上場申請にかかる内国株券等が議決権の少ない株式である場合には、議決権の多い株式(議決権の少ない株式以外の議決権株式をいう。以下同じ)について、その情とが行われるときに議決権の少ない株式に転換される旨が定められていること。
- 当該新規上場申請に係る内国株券等が剰余金配当に関して優先的内容を有している場合には、原則として、上場申請日の直前事業年度の末日後2年間の予想利益及び上場申請日の直前事業年度の末日における分配可能額が良好であると認められ、当該内国株券などの発行者が当該内国株券等に係る剰余金配当を行うに足りる利益を計上する見込みがあること。
- その他株主及び投資者の利益を侵害する恐れが大きいと認められる状況にないこと。