アメリカのコーポレート・ガバナンスについて

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アメリカのベンチャー企業におけるコーポレートガバナンスの形を見てみましょう。アメリカのベンチャー企業では取締役会があります。日本でもあるだろう。それはそうなんですが、実は会社法上、株式会社は取締役を設置する必要はなく、定款で定めることで任意に取締役会を設置できるとしています(会社法326条2項)。それで、以下の4種類の株式会社については取締役会を設置しなければならないのです(同327条1項)。

・公開会社

・監査役会設置会社

・指名委員会等設置会社

・監査等委員会設置会社

通常、ベンチャーキャピタルから投資を受ければ、株式の一部でも株主総会の決議なく自由に譲渡できる会社になっているはずですから、上記の公開会社となり、取締役会は設置されているはずです。ここで公開会社とは上場会社のことではありません。繰り返しになりますが、株主総会決議を行わずに自由に株式が譲渡できる会社のことを公開会社といいます。

さて、3名の取締役会を想定しますと、ベンチャーキャピタルから投資を受けた企業は、経営陣(主に普通株式)から1名、投資家(主に優先株式)から1名、両社の合意で1名ということが多くなるでしょう。なお、アメリカには監査役や監査役会はありません。創業者と株主から選任された社外取締役、そしてもう一人の取締役の3名程度の役員構成でスタートし、投資家が増えるに応じて、徐々に拡大していきます。

特にアメリカのベンチャーキャピタルから派遣される人材は、日本よりも確実にクオリティの高い人材が数多くおります。日本の派遣人材も優秀な方が数多いのですが、アメリカと比較するとやはりその量と質は雲泥の差があります。この優秀な方は実際に経営者の経験があったり、エンジニアの経験があり、企業価値を向上させることができます。日本では取締役というと、従業員が目指す先の役職というイメージが強いのですが、アメリカでは、最近の日本のベンチャー企業でもですが、創業者や投資家等の株主の代表であり、取締役会は機動的な一種の株主総会のようなものです。

このため、株主総会で決めることを取締役会に権限委譲して、スピーディーに意思決定できるようにすることは一種の合理性があります。そして、株主の数が増えてくると、ベンチャー側としては、競合相手に情報が流出するリスクも高まるため、株主総会に報告できる情報は限定的にならざるを得ません。しかし経営意思決定は情報を開示しなければ行えません。それも権限移譲のメリットの一つです。

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