会社法と機関設計

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譲渡制限会社である中小会社については、公開大会社に比べ、株主の変動も少なく、株主数も少数であり、かつ、取引先等の債権者も比較的少ないことから、より簡素な運営形態が認められるほか、公開大会社のような厳格な運営形態の採用も認められます。

それに対して公開大会社は不特定多数の株主や債権者等の多くの利害関係者が存在することから、ガバナンス強化のため、会計監査人、監査役会又は指名委員会等・監査等委員会の設置が義務付けられ、監査役会設置会社、指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社の3つの機関設計のみが認められることになります。

上場準備会社の多くは、譲渡制限会社である中小会社(非公開の大会社以外)に該当することとなりますが、株式の上場に伴い、多くは会社法で定義される公開大会社に該当します。上場前においてもコーポレート・ガバナンスの観点から取締役会と監査役会が必要となるのです。従いまして、上場準備会社は監査役設置会社、指名委員会等設置会社及び監査役委員会設置会社の3つの機関設計に集約されます。なお、東京証券取引所上場会社のうち、指名委員会等設置会社は1.7%程度となっており、新規上場か申請会社で採用されるケースは稀であり、この傾向はそれほど変わらないと思われます。

さて、平成26年会社法改正によれば、「企業統治の在り方の見直し」が中心的な課題の一つとされ、社外取締役を活用した取締役会を活用した取締役会の監督機能強化のため社外取締役の不設置理由の開示制度の導入と社外取締役を置きやすい監査役等委員会設置会社の創設が重要な変更点となっています。

監査等委員会設置会社は監査役設置会社と指名委員会等設置会社との中間的な位置づけにある監査等委員会(取締役3名以上で構成し、その過半数は社外取締役であること)が取締役会の内部機関としておかれ、取締役の職務執行の監査は、監査等委員会の職務とされ、監査役の設置は禁止されています。また、監査等委員会設置会社は、会計監査人の設置や内部統制に関する事項の決定が義務付けられる一方、常勤の監査等委員を置くことは義務付けられておりません。

社外取締役の不設置理由の開示制度とは、社外取締役を置いていない上場会社等(次の要件を満たす株式会社・監査役会設置会社・公開会社・大会社・株式について有価証券報告書の提出義務のある会社)において、「社外取締役を置くことが相当でない理由」を開示(定時株主総会における説明、事業報告への記載)させるもので、社外取締役の設置を促進しようとするものです。また、これを受けて、有価証券上場規程が改正され、上場会社は取締役である独立役員を少なくとも1名以上確保すること努力義務とされています。なお、社外取締役の要件が改正され、親会社等の取締役でないこと、兄弟会社等の業務執行役員等でないこと及び取締役等、親会社等の近親者でないこと等が追加されています。

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