単純に考えれば、会社がファイナンスを行う場合には、アセット、デット、エクイティだけなのですが、この中でさらに細かく分類することが可能です。
デット・ファイナンスの中の銀行借り入れだけでもかなり分類できます。
(a) 商業手形割引
売上代金等の決済目的で顧客より受領した商業手形(約束手形や為替手形)を所定の金利率で割引計算し、手形額面から金利額差引後のネット金額を借り入れます。
(b) 手形借入
自己振出の銀行宛て約束手形を差し入れて借り入れます。
(c) 証書借入
皆さんが一般的に銀行から借り入れるときの形式です。金融機関との間で金銭消費貸借契約書を交わします。
(d) 当座貸越
この言葉は少しややこしいのですが、当座貸越とは銀行サイドの用語で、借り入れる方は当座借越になります。これは当座預金口座を所定の契約の範囲内で、マイナス残高にすることで借り入れる方法です。何だかよくわからないと思います。要するに信用枠を5,000万円と予め決めておいて、その間であれば、ハンコ一つでいつでも借りられる制度です。非常にラクですよ。気を付けなければならないことは、当座貸し越しの枠の分は借りていることになっていますので(利息は発生しませんが)、新規借入(証書借入等)を行う際には、その分借入が少なくなってしまう可能性があります。利率にも影響してくるでしょう。
(e) コミットメント・ラインの設定
銀行との借入期間が終了したときに、銀行が貸し付けに応じてくれる保証はありません。その時の銀行の資金状況や借り手の信用状況の悪化もあります。そこで銀行とあらかじめ契約しておき、一定期間(通常は1年間)は必ず借り換えに応じてくれるというコミット(Commit)を取っておくことがあります。このような限度をコミットメント・ラインの設定と呼んでいます。
企業にとっては都合の良い話ですが、銀行にとってはリスクになります。そこでコミットメント・ラインには、ラインの未使用額に対してコミットメント・フィーを銀行に支払います。仮に10億円のコミットラインを設定し、5億円の借入を実行した場合、5億円には所定の借入金利を支払い、使用していないラインの5億円に対してはコミットメント・フィーを支払うことになります。
一見無駄なコストに見えますが、いつでも借り入れができるという安心感や、当該企業がいつでも借入余力を持っていることが理解でき、取引先が安心して取引を継続してくれることに繋がります。借り入れができることは、その企業に対する信用力があることを示しているわけです。