国税庁方式における配当還元方式を概観してみましょう。
直前2年間の平均配当金額を一定の割引率(一律10%)で資本還元して評価する方式(特例的評価方式)で算式は次の通りになります。これは同族株主以外の株主及び同族株主でも会社の経営に関与していない零細株主が取得する株式について算定する方式で、会社の規模に関わらず、原則的な評価方法に代えて用いる方式となっています。
株価=その株式に係る年配当金額/10%×sの株式の1株当たりの資本金の額/50円
取引相場のない株式の評価
株主の態様による区分(注1) |
相続税における評価額 |
規模区分の内容 |
純資産価額(帳簿価額によって計算した金額及び従業員数) |
直前期末以前1年間における取引金額 |
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同族株主のいる会社 |
同族株主 |
議決権割合5%以上 |
原則的評価 |
大会社 |
類似業種比準方式による価額 |
従業員数が100人以上の会社又はいずれか一つに該当する会社 |
卸売業 |
20億円以上(従業員数が50人以下の会社を除く) |
80億円以上 |
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議決権割合5%未満 |
中心的な同族株主がいない場合 |
その他 |
10億円以上(従業員数が50人以下の会社を除く) |
20億円以上 |
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中心的な同族株主がいる場合 |
中心的な同族株主 |
中会社 |
類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式による価額 |
従業員数が100未満の会社で右のいずれか一つに該当する会社 |
卸売業 |
7千万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く) |
2億円以上80億円未満 |
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小売・サービス業 |
4千万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く) |
6千万円以上20億円未満 |
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その他 |
5千万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く) |
8千万円以上20億円未満 |
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役員 |
小会社 |
純資産価額方式 |
従業員数が100人未満の会社で右のいずれにも該当する会社 |
卸売業 |
4千万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く) |
2億円未満 |
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小売・サービス業 |
4千万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く) |
6千万円未満 |
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その他 |
4千万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く) |
8千万円未満 |
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その他 |
特例 |
配当還元方式による価額 |
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同族株主以外の株主 |
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同族株主のいない会社 |
議決権割合の合計が15%以上のグループ |
議決権割合5%以上 |
原則的評価 |
同族株主の場合に同じ |
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議決権割合5%未満 |
中心的な株主がいない場合 |
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中心的な株主がいる場合 |
役員がいる場合 |
その他 |
特例 |
配当還元方式による価額 |
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議決権割合の合計が15%未満のグループに属する株主 |
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- 株主の態様による区分
同族株主とは、課税時期におけるその評価会社の株主のうち、株主の一人及びその同族関係者の有する議決権の合計額が、その会社の議決権総数の30%以上である場合における株主及びその同族関係者をいう。
但し、その会社の株主のうち、株主の一人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の50%超である場合には、50%超の株式を有するグループに属する株主及び同族関係者が同族株主となる。
同族関係者とは、株主等の親族(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族)その他法人税施行令第4条に定める特殊な関係にある個人又は法人を言う。
中心的同族株主とは課税時期における同族株主の一人並びにその配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者と特殊な関係のある会社の内、これらの者の有する議決権総数の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である場合におけるその株主をいう)。
中心的株主とは、同族株主のいない会社の株主で課税時期において株主の一人及びその同極関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の15%以上である株主グループの内、いずれかのグループに単独でその会社の議決権総数の10%以上の議決権を有している株主を言う。
- 会社区分による評価方式
会社の区分 |
評価方式 |
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大会社 |
類似業種比準価額(但しこれより純資産価額が低いときは純資産価額) |
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中会社 |
中会社の大 |
類似業種比準価額×0.9+純資産価額×0.1(同上) |
中会社の中 |
類似業種比準価額×0.75+純資産価額×0.25(同上) |
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中会社の小 |
類似業種比準価額×0.6+純資産価額×0.4(同上) |
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小会社 |
純資産価額(但し「類似業種比準価額×0.5+純資産価額×0.5」の価額が低いときは、その価額) |
(出所:国税庁HP)