多すぎるストックオプションは禁物

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創業からしばらくたったのちに緊急にストックオプションを発行しなければならない場合は、概ね、資金調達のし過ぎで、創業者の持ち分比率が下がり、安定株主の確保ができなくなった場合です。言ってしまえば資本政策のミスですね。創業者は外部の資金調達を行わざるを得ない状況では、自分の資産も相当乏しい状況でしょうから、自分で出資はできません。そのため、株主にお願いして、大量のストップオプションを発行して創業者の持ち分を確保せざるを得なくなります。

どれだけのストックオプションを発行するかにかかわらず、発行しただけ、既存の株主の株主価値は落ちることになるので(いわゆる希薄化)、あまりいい顔はできません。ですが、そんなことで創業者のやる気がそがれ、上場できないとなると、自分の持ち分が紙っぺらになってしまいますから、いやいやながらも応じるケースが多いでしょう。確実に、とはいえませんが、但し、あまりにこのストックオプションの発行数が多すぎると、上場が難しくなるケースが出てきます。主幹事証券からは、上場前にストックオプションの多くを行使してくださいと言ってきます。しかし場合によっては数千万どころか数億の資金を要することも出てくるでしょう。1千万円くらいであれば、上場すれば資金が入るからといえば、知人や友人から一時的に調達することもできるでしょうが、さすがに数億ともなると厳しいですし、上場もいつその状況がひっくり返るかわかりませんので、金融機関も簡単には貸してくれません。上場後、従業員がストックオプションを行使して株式を売却するための、行使資金として小額借りるのとはわけが違います。

たとえ言いますと、3割程度しか創業者の持ち分が無くなっていて、半数以上の持ち分を確保するために、発行後で3割くらいのストックオプションを発行したとしましょう。単純計算して、発行後で時価総額が10億円になるとしますね。その時点で発行したストックオプションは3億円出さないと現株にならないのです。さすがに3割となると、上場は厳しいでしょうし、それを現株化するのはもっと厳しいということです。

もう一つは、仮に行使する資金を貸してくれたとしても、社長に対して普通の方法でストックオプションを発行しても税制適格にならない可能性もありますから、キャピタルゲインにものすごい税金がかかることもあるのです。税制適格の要件は年間で1,200万円までです。上記の例で例えると、3億円、税制適格の要件で行使するためには、何年かかりますか。もはや創業者が隠居したい年代になっているかもしれませんし、上場廃止になっている可能性もないとは言えません。

場当たり的なファイナンスを行うのではなく、計画的なファイナンス、そしてストックオプションの発行を行うために、中期経営計画と資本政策を綿密に立てましょう。

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