業務フローの整備の方法に従って、あるべき業務フローを作成した後には、担当者及び責任者が当該フローに従い、業務が実施できるような「制度」を構築する必要があります。そのとき、業務フロー作成の際に検討した業務実施範囲や責任範囲を規定やマニュアルに落とし込み、各担当者がそれらを順守することにより、当初定めたとおりに業務が実施されるようにしなければなりません。以下、規程・マニュアル作成の流れ及びポイントを示した後、上場審査上特に留意すべき点について説明することにしましょう。
(1) 規程作成の流れ
規程は以下のような流れで作りましょう。
(a) 現行規程等の棚卸
(b) 必要な規程の決定・作成
(c) 規程等の内容・運用状況の確認
(d) 問題点・改善事項の抽出
(e) 規程等の改定・本格運用の開始
2.現行規程等の棚卸及び必要な規程の決定・作成におけるポイント
上場準備を始めた段階の会社においては、規程やマニュアルについて会社法上要求される定款や人事のために必要な就業規則、給与規程等しかない場合も多いでしょう。規定の整備に当たっては、整備されていない規程や整備されているが不備のある規程を洗い出すことから始めましょう。未整備の規程の中で、基本規程、組織関係規程、人事関係規程に含まれる規程を優先的に整備すると良いと思われます。特に職務分掌規程と職務権限規程は業務運営の基礎となりますから、最初に整備しましょう。この2つの規定の整備のためには、会社の組織体制や職務分掌の在り方について、全社的コンセンサスが必要となります。そのため、経営陣で権限を付与する職層について、十分協議しましょう。
3.一般的な規程の種類
以下、一般的な規定の種類を表にまとめました。
基本規程 | 業務管理規程 | 人事関係規程 |
定款 取締役会規程 監査役会規程 株式取扱規程 | 購買管理規程 生産管理規程 販売管理規程 外注管理規程 与信管理機智恵 内部監査規程 | 就業規則 給与規定 人事考査規程 従業員持株会規程 旅費規程 慶弔見舞金規程 |
組織関係規程 | 総務関係規程 | コンプライアンス規程 |
組織規程 職務分掌規程 職務権限規程 稟議規程 関係会社管理規程 | 固定資産管理規程 印象管理規程 規程管理規程 文書管理規程 車両管理規程 | コンプライアンス管理規程 リスク管理規程 内部通報規程 倫理規定 個人情報管理規程 インサイダー取引防止規程 |
経理関係規程 | ||
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