外貨建てのCAPM

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

スポット・レート法を用いて外貨建ての株主資本コストを求める手法には、グローバルCAPMがあります。グローバルCAPMにおける株主資本コストの算出式は以下の通りです。

Rfe:外貨建て資本コスト

Rff:外貨建てリスクフリー・レート

β:グローバル市場の市場リスクプレミアムに対する感応度

Rmg-Rfg:グローバル市場の市場リスクプレミアム

ここでグローバル市場というのがポイントになります。グローバルCAPMとは文字通り、通常のCAPMをグローバル市場に拡張したものですので、リスクフリー・レートも、βも市場リスクプレミアムも全てグローバルの指標を用いなければなりません。そのため、グローバルと名がついた段階で、日経平均やTOPIX、日本の国債10年物が使えないことはわかると思います。

グローバルでいえば、ここで用いる株式指数はMSCI World Indexが一般的です。これは、先進23か国の約1,600銘柄を組み入れた時価総額加重平均型株価指数であって、それぞれの国の浮動株調整後時価総額の85%をカバーしています。なお、1969年12月31日を100として算出されており、組入銘柄の見直しは四半期に一度実施されます。なお、本指数より対象がさらに広いものとして、世界の先進国(23カ国)と新興国(24カ国)で構成される「MSCI ACWI(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)」という株価指数もあります。

但し、企業価値評価を行う場合には、どこかの国の会社を対象とすることが多いため、グローバルという言葉に引っ張られすぎない方が良いとも考えられます。例えばシンガポール企業の株価評価に、特にMSCIのインデックスを用いる必要はないわけであって、シンガポールには、FTSEグループが算出した、シンガポール証券取引所の株価指数「ストレーツ・タイムス指数(FTSE Straits Times Index)」があります。またリスクフリー・レートにおいてもシンガポールにも国債がありますし、国債利回り10年物の利回りはインターネット上で情報を得ることができます。従いまして、各国の企業の企業価値を評価する場合には、まず各国のYahoo!ファイナンスを訪れれば、大抵の情報は入手できます。後はブルームバーグやロイターも十分に活用できるでしょう。類似業種もなるべく、その国の市場の企業を用いることを推奨しておきます。但し、類似業種が他の国にあるのであるとすれば、それを類似業種として組み入れることも実務上は行われています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*