起業家が自分で決められる持分比率とは。どのくらいで自由が利かなくなるか?

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何度も繰り返しになりますが、ベンチャー起業家は若く、人生経験の乏しい人が多いです。別に若いから悪いのではなくて、ベンチャー起業なんて土日もなければ、夜も朝も昼もない、ひたすら働きづめになることも少なくありません。正直体力勝負みたいなところもありますから、ベンチャーを興すならば、無理がきいて若いうちの方がいいと思います。

年を取ってから退職金を資本金にして、会社勤めではできなかったことをなんて夢を描くシニアも少なくはないですが、どちらかと言えばお勧めしません。もっともベンチャーではなくて、カフェとかあまり体力を使わず、生活費は年金で賄えるから趣味でいいよ、という軽いものならばよいのではないかと思います。

若くて人生経験も乏しいと、人から騙されるとか、損をするとか、失敗した経験も少ない人が多いはずです。ベンチャー企業の中にはそういうことに巻き込まれずに上場まで行けたというラッキーな人もいます。能力というよりはむしろラッキーと言った方がいいでしょう。大半の人は志半ばで挫折することが多いですが、能力があるにもかかわらず上手くいかないこともあります。運が悪いとか、正直そのビジネスが時代より先に行き過ぎたとか、競合他社ですごい奴が出てきてしまったとか、まあ色々。でも一番悲惨なのは、優れたビジネスモデルを持ち、優れた経営者にもかかわらず、投資家の「僕は君の味方だから」という一言を信用して、会社ごと乗っ取られてしまったケースです。一気に乗っ取るパターンもあれば、投資担当者はいい人だったのですが、会社の方針で乗ったらなければならなくなった等の大人の事情というものはあるものです。それを恨んだところで仕方がありません。じわじわ系の場合は最初は少額投資で入ってきて、魅力的な事業だと思ったら、少しづつ投資を増やしていき、発言権を増やしていって、いつか過半数を取得し、いつの間にか大多数を握られていたというパターンです。

過半数以外でも経営者は注意しておかなければならない割合というものがあります。一番最初のハードルは3分の1超です。3分の1超で何ができんだよ、あと3分の2いるんだから何もできやしねえよ、けたけたと思うかもしれませんが、なめたらいけません。

まず、会社の重要な方針である次のことがあります。
(a) 定款の変更(第309条2項11号、第466条)
(b) 募集株式の事項の決定(第309条2項5号、第199条第2項)
(c) 会社法第5編の規定により総会決議を要する場合(第309条2項12号)
※組織変更、合併・会社分割、株式交換、株式移転
(d) 事業の譲渡や譲受等(第309条2項11号、第467条1項)
(e) 資本金の額の減少(第309条2項9号、第447条1項)

上記事柄を行うためには株式総会の特別決議が必要となります。つまり3分の2以上が賛成しないと、行うことができません。やっぱり3分の2いなきゃできないんだろ、3分の1じゃ何もできないじゃねえか、大した事ねえなあ、と思うのは早計。ここで重要なのは3分の1「超」です。つまり、3分の2以上の賛成がなければ上記ができない、3分の1超持っている株主は、上記の事柄を拒否できる、ということなのです。これを拒否権と言います。

定款記載事項を変更するにも、合併や事業譲渡を行う場合でも、必ずしも3分の2以上の株主の了解を取らなければならないため、3分の1超の株主の了解も当然とらなければならなない。つまり3分の1超の株主のご機嫌取りをしておかなければならないのです。それだけでも面倒くさくないですか。だからできれば安定株主だけで3分の2超は確保しておくために、なるべく外部の株主には3分の1超を渡さないことが重要となるのです。

逆に3分の1超を持てば、その株主が今の経営陣に対して徹底的な嫌がらせもできるというわけです。

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