関連当事者等を把握せよ

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最初に行わなければならないのは、関連当事者その他の特定の者の範囲の把握です。上場申請会社から見て、誰が関連当事者その他の特定の者に該当するかを検討するのがグループ会社整備のスタートとなります。関連当事者とは以下の者を言います。

(a) 親会社
(b) 子会社
(c) 財務諸表作成会社と同一の親会社を持つ会社
(d) 財務諸表作成会社が他の会社の関連会社である場合における当該他の会社(その他の関係会社という)並びに当該その他の関係会社の親会社及び子会社
(e) 関連会社及び当該関連会社の子会社
(f) 財務諸表作成会社の主要株主(自己または他人の名義をもって総株主の議決権の10%以上を保有している株主)及びその近親者(二親等内の親族)
(g) 財務諸表作成会社の役員及びその近親者
(h) 親会社の役員及びその近親者
(i) (f)から(h)に掲げる者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社及びその子会社
(j) 従業員のための企業年金(企業年金と会社の間で掛け金の拠出以外の重要な取引を行う場合に限る)

上記のうち、いくつかは以前に記載しておいたので、ここでは役員、近親者、その他の特定者について記載します。

(1) 役員とは
役員とは、取締役、会計参与、監査役、執行役又はこれらに準ずる者をいいます。これらに準ずる者とは例えば、相談役、顧問、執行役員その他これらに類するものであって、その会社内における地位や職務等から見て実質的に会社の経営に強い影響を及ぼしていると認められる者のことです。創業者等で役員を退任した者についても、役員の定義に該当するかどうかを実質的に判定します。
このように会社法上の役員以外であっても役員と判断される場合があるため、注意が必要です。
また「重要な子会社の役員」とは「重要な子会社」の役員ではなく、「重要な」子会社の役員です。上場申請会社グループの事業運営に強い影響力を持つ者が子会社の役員にいる場合には、当該役員も関連当事者となります。

(2) 近親者とは
近親者とは、二親等以内の親族、すなわち、配偶者、父母、兄弟、姉妹、祖母、子、孫及び配偶者の父母、兄弟、祖父母並びに兄弟、姉妹、子、孫の配偶者のことです。
近親者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社及びその子会社も関連当事者の範囲に含まれてくるため注意が必要です。

(3) その他の特定者とは
その他の特定者とは、関連当事者の範囲に含まれないものの、申請会社の企業グループと人的、資本的な関連を強く有すると考えられる者のことです。この項目があることにより、特定の人物を意図的に関連当事者の定義の範囲から外すことにより。審査の対象としないような行為は意味がなくなります。当然、意図的に外す行為は許されず、会社の審査に対する姿勢自体が疑われ、審査担当者の印象も悪いものになるため、行うべきではない。

(4) 関係や取引の網羅的な把握
関連当事者その他の特定の者の範囲は非常に広いものとなっています。一方で、上場審査上問題となるのは、上場申請会社と関連当事者その他の特定の者との関係や取引内容です。そこで、以下のような方法で、問題のある関連当事者及び取引を網羅的に把握することになります。

(a) 役員や個人主要株主から文書による回答
関連当事者のうち、上場申請会社や子会社、関連会社の役員、個人主要株主に対して、議決権の過半数を所有している会社及びその子会社の有無、及び近親者についても同様の会社の有無を書面で確認します。またそれらの会社と上場申請会社が取引を行っているかどうかも合わせて確認するようにします。
(b) 関係会社の株主及び役員の一覧作成
100%子会社となっていない子会社と関連会社については、上場申請会社以外の株主の状況、役員の就任状況、役員報酬の支払状況をリスト化し、把握します。親会社及びその他の関係会社についても、上場審査上必要であることを説明し、それらをリスト化します。
(c) 総勘定元帳、各種明細の検索
総勘定元帳を検索することにより、把握している関連当事者との取引の発生の有無を把握する。同様に科目明細や得意先・仕入先の一覧の中に関連当事者が含まれていないかどうかを確認します。
(d) 取締役会議事録の閲覧
関連当事者との取引のうち、会社法上の利益相反取引となるものについては取締役会で承認を得る必要があります。そこで取締役会議事録を閲覧することで承認済みの関連当事者取引を把握することができます。

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