グローバルCAPMの問題点

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グローバルCAPMにおけるβは、グローバル市場を代表する株価指数を基準として推計する必要があります。MSCI World Indexがグローバル市場の変動に近似すると考えれば、βは評価対象企業又は類似企業の株価の収益率をMSCI World Indexの収益率と回帰分析をすることで求めることになります。

また、新興国であっても、ある程度成熟した国であれば、その国の株価指数を用いるのがベストと言えます。但し、一国の市場における業種分布には偏りがあり、評価対象企業の属する国の市場だけで類似会社を選定した場合に、十分な数のサンプルを獲得できないことがあります。このようなときには、様々な国の類似企業をピックアップして、様々な類似企業のβをグローバルベースで分析することはベターな判断になります。

βは事業内容だけでなく、規模や成長ステージといった複数の要素に依存しています。規模の大きい企業はボラティリティは低いですが、市場との相関性が高いため、βは相対的に大きくなりがちです。逆に規模の小さい企業はボラティリティが高いのですが、市場との関連性が低いため、βが相対的に低くなりがちです。この点にも注意をして検討する必要が出てきます。

グローバルCAPMの問題点は十分に分散されたグローバル市場を基準として資本コストを推計していますので、新興国固有のリスクが反映されておりません。MSCI World Indexは先進国の市場の代表的な企業で構成されています。そのため、グローバルCAPMを機械的に適用すると、新興国におけるリスクを過小評価する可能性があります。

そのため、対象国の株式市場とグローバル市場のボラティリティに比を用いて、グローバル市場の市場リスクプレミアムを補正する方法があります。これを相対リスク比率モデルと言いますが、グローバルCAPMは以下のように修正されます。

Rrre:相対リスク比率モデルにより推計された株主資本コスト

Rff:対象国におけるリスクフリー・レート

βf:対象国の市場を基準とした企業iのリスク感応度

σf/σg:対象国の市場とグローバル市場のボラティリティの比

Rmg-Rfg:グローバル市場の市場リスクプレミアム

上記式は、ある国の市場リスクプレミアムがグローバル市場の市場リスクプレミアムを基準として、当該国の市場とグローバル市場のボラティリティ、即ちリスクの相対比に応じて変動することを意味しています。通常、新興国の株式市場のボラティリティは、グローバルな株式市場のボラティリティに比べて高いため、相対リスク比率モデルによると、新興国の市場リスクプレミアムはグローバル市場に比べて高くなりますが、理論的には整合しているといえます。

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