継続価値とは、予測期間以降のフリー・キャッシュ・フローの現在価値を言います。将来のフリー・キャッシュ・フローを永久的に予測することは難しいので、継続価値の算定は一定のシンプルな仮定に基づいて行われます。継続価値の見積もり方法の中で最も一般的なものは永久成長率法です。
これは予測期間最終年度の標準化されたフリー・キャッシュ・フローが一定の成長率を伴って永続すると仮定する方法です。永久成長率法による継続価値の算定式は以下のようになります。
TV:継続価値
FCFn+1:n年目のキャッシュ・フローを標準化したフリー・キャッシュ・フロー
r:割引率
g:成長率
永久成長率法は、一定の成長率でフリー・キャッシュ・フローの増加が永続することを前提としています。そのため、継続価値を算定する対象期間の初年度のフリー・キャッシュ・フローを見積もる場合、減価償却費と資本的支出が均等化すると仮定するのが一般的です。なぜなら、永久成長率法により算定される継続価値は、業界の成長率を上回る拡張的な投資は継続価値算定基準日前の予測期間で終了しているということを前提とするからです。そのため本体は減価償却費も負担が小さくなると考えられますが、合理的に見積もることができない場合には、予測期間最終年度と同額の減価償却費が永続するとみなして算定することが一般的です。
一定のフリー・キャッシュ・フローが一定の成長率で半永久的に増加するということになりますと、業界平均を超える超過収益は発生しないことが前提となります。そのためのれん償却費が予測期間に計上されている場合は、のれんの償却負担がなかったとみなすことが一般的です。
運転資本についても、一定の成長率でフリー・キャッシュ・フローの増加が永続的に続くことを前提とすれば、その増減も原則として考慮されないことになります。これらを前提とすると継続価値は以下のようにあらわされます。
TV:継続価値
NOPLATn:n年目のNOPLAT
r:割引率
g:成長率
永久成長率法の問題点としては、一定の成長率を実現するための再投資が明示的に考慮されていないという点です。