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先日、日本では社長は辞めづらいという話をしました。ここをもう少し深堀してみましょう。日本では技術やコンセプト、アイデアに優れている人がいて、こういうひとが起業したい場合には、どう考えていても技術のところだけ関わっていたいと思ったところで、社長をやらざるを得なくなります。起業したいんだから、当たり前だろ、の一言で終了です。これが社会的にプラスかと考えるとそうは思いません。
野球の世界でも名選手は名監督にあらず、ということも言われます。つまり、それと同様に、優れた技術者だから社長として能力があるとは限らないのです。そうであれば、社長は別の人にやってもらった方がいいと思いませんか。
アメリカですと、優れた技術者が起業して自分で調達してくるのですが、俺は社長に向かないからといって、社長に別に人を立てるということも珍しくはありません。また、自分の技術やビジネスモデルを社長候補に話をして、チームをサクッとつくって、サクッと資金調達をしてビジネスを始めてしまう、そんなことは当たり前のように行われています。どう考えても不向きなことをやらせたままというのは社会的に非効率だと思いませんか。だったら起業するな、そうするとその技術者の夢を奪うだけでなく、その技術が世に出る機会すら与えられないことになります。大抵クズ技術が多いのですが、中には画期的な技術もあるかもしれません。
結局のところ、起業したいと思った人が一から十までやらなければならなくなります。それで天才的な技術者も、会社経営で失敗し、借金を抱え、返せなくなって晩節を汚す人が多いのですね。今は現実論として話をしなければなりません。技術の天才でも、起業を志せば、技術だけわかっていればOKではなくて、営業もこなし、経営や数字もわかっていないと始まりません。いずれにしても、起業をすれば、従業員の給与、銀行への返済、取引先への支払い、売上の獲得、社内管理、会社の存続、投資家の損益もかかってくるのです。それは、従業員のモチベーション維持、外部環境、人材採用、社内規則、内部統制まで考えて、「事業計画」を立てる必要が出てきます。
計画を作成することで、経営者と役員、そしてスタッフが企業の目的や、会社がどこへ向かいのか、その理解を深めることで事業に関わる様々なリスクに立ち向かっていけるようになります。起業間際では、単に給料をもらえればそれでいいです、といった人にはご遠慮いただかなければなりません。逆にそういう人にお声がけしてしまったならば、責任をもって給料を支払わなければなりません。勢いで始めてしまって、その勢いが空回りして、にっちもさっちもいかなくなって、給料も払えずおじゃん、とは少なからずしてあるケースです。
勢いも大切ですが、計画もきちんと立てましょう。実は計画を立てることによって、勢いが出てきます。計画とはゴールの設定でもあります。ゴールが見えないのにひたすら走れ、と言ってもパワーが出ませんよね。ここまで頑張ればこうなる、ということが見えれば、そのゴールに向かってパワーが出ます。このパワーというものが勢いなのです。また勢いとは状況に応じて臨機応変に対応が行える力にもなります。