インプライド・リスクプレミアムの算出方法には、企業価値評価のモデルと同じくらいにたくさんの方法がありますが、投資家の期待利回りに基づく方法で算定する方法を以下記載します。
まず初めに、投資家が将来的に期待する収益率を以下のような形で表します。
ROE=予想純利益÷時価総額
ROE:Return On Equity(投資家の期待利回り)
現時点での時価総額は、現時点での市場株価×発行済株式数という式で算定できます。日時ベースで計算すると、余計な情報に左右されがちなので一定の期間を取るようにします。3か月か半年か、あるいは1年くらいの平均値を取るとよいでしょう。ここでの予想純利益は、各企業の決算単信における業績予想を用いましょう。
次に個別企業のROEはCAPMで算出される期待収益率と等しいと考えます。
Rt:リスクフリー・レート(算定基準日における10年国債の利回り)
β:算出基準日より過去5年間の感応度
MRP:市場リスクプレミアム
ここで市場リスクプレミアム(MRP)はインプライド・リスクプレミアム(IRP)と同義ですから、IRPは以下のように表現できます。
類似業種の選定の場合には、上場1年未満の企業や当期純利益がマイナスの企業等は省くとよいでしょう。評価をしていると次第に異常値がわかってきますから、それらは適宜外すようにしてください。
インプライド・リスクプレミアムは、算出基準日時点での市場株価と予想利益の関係かが逆算されます。従いまして、企業の予想利益が一定のまま市場株価が下落すればインプライド・リスクプレミアムは上昇します。逆に市場株価が上昇すればインプライド・リスクプレミアムは下落します。通常、中長期的には、株価の上昇局面では企業の予想利益も増加傾向にあり、株価下落局面では逆の現象が生じていると思われますので、インプライド・リスクプレミアムは短期的な市場の変化で変動しますが、中長期的には一定の範囲にとどまるものと考えられます。