取締役会非設置会社組織の制度設計とは

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ベンチャー・キャピタルの中で、投資家として社外取締役として派遣されても、下っ端の場合は、その場で決めることができません。「会社に持ち帰って相談させてください」としか言いようがなく、担当者を責めても可哀そうというものです。

さて、取締役会非設置会社とは言うものの、実は会社法上に規定はなく、正式な名称ではありません。以前は有限会社というものがありましたが(厳密には作ることができた)、会社法の制定に際して、有限会社法が廃止され、有限会社は株式会社に移行するとされ、つまり機関設計の柔軟化が図られ、従来の有限会社に類似した「取締役会を置かない会社」(取締役会非設置会社)が認められるようになりました。会社法上では、むしろ原則が取締役会非設置会社であり、例外が取締役会設置会社と考えられるように見えます。

定款変更の必要があるため、株主総会の特別決議になりますが、取締役会非設置会社は定款を変更して取締役会設置会社となることができ(会社法915条1項・911条3項15号参照)、逆に取締役会設置会社は定款を変更して取締役会非設置会社になることができます(同915条1項・911条3項15号参照)。後者の場合には、会社法上取締役会の設置義務がないことが条件となります。また、後者の変更を行った時には、変更前の会社の代表者の選定方法によっては、代表取締役の変更が必要な場合があり、加えて、取締役会設置会社においては取締役は3人以上でなければならない(331条5項)から、取締役を選任しなければなりません。更に、指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社でない取締役会設置会社は、公開会社でない会計参与設置会社を除き、監査役を置かなければならない(327条2項)から、監査役又は会計参与を選任しなければならない場合があります。以前も述べましたが、まさにフルアーマーです。

さて、取締役会を設置しない会社は、社長をはじめ取締役会がフレキシブルに活動できるメリットがありますが、取締役会や監査役というガバナンスがない分、株主の監督権限が強化されています。例えば譲渡制限のある株式や新株予約権の譲渡、取締役の競業取引等の承認を原則として株主総会で行わないといけません、重要な契約の締結を締結することが株主総会で決議することも多く、内容が株主全員に知られてしまうというデメリットがあります。

このため、外部の株主がベンチャーキャピタル数社である場合には、株主総会で決めても取締役が株主に相談しながら決めても変わらないのですが、多数の従業員が多数の株式を持つ、あるいは個人投資家(エンジェル)が競合のサポートを始める、銀行や取引先が株主になった等、利益が相反する株主が増えてくると、情報漏洩の危険がありますから、取締役会を設置して、取締役会で意思決定をできるようにした方が無難でしょう。

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