投資契約や株主間契約とコーポレート・ガバナンス

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日本のベンチャーの場合、環境や制度上の問題として、取締役会に権限移譲する形は困難ですので、簡易株主総会としての取締役会に代わる機能を投資契約や株主間契約等に持たせる必要が出てきます。アメリカのベンチャー投資において、株主間契約で投資家の拒否権があるのは次のようなケースです。

(a) 会社の解散、合併、その他の組織変更
(b) 優先株主に不利な定款の変更
(c) 優先株式と同等以上の株式を持つ株式の発行
(d) 普通株への配当の支払い
(e) 一定金額以上の借り入れ
(f) 子会社での証券発行や子会社の異動
(g) 取締役会の員数の変更

次に、日本で想定すべきことは以下のケースが考えられます。

(h) 代表取締役、重要な使用人の選任や解任
(i) 自己株式の取得
(j) 投資契約の締結
(k) 株式公開に関する事項の決定(上場する市場、主幹事証券や監査法人等)
(l) 事業計画の変更
(m) 重要な契約の締結、解除等

以上の事柄は、投資契約や株主間契約で投資家の事前承認事項として定められていることが多いと思います。投資家が承認しなければ決定できないので、実質拒否権というものです。これらは経営陣と投資家の利益が相反する可能性の強い部分であるため、株主にフェアな決定をしてくれない可能性のある取締役会に決定を任せるのではなく、投資契約や株主間契約で投資家も交えて決定する必要があるのです。

特にファイナンスに関しての自由が狭められるため、投資家が取締役会や財務担当取締役の機能の一部を有していると考えることもできます。機動的な資金調達ができなくなるために、場合によってはお伺いを立てているうちに兵糧攻めに合い、投資家の言いなりにならざるをえなかったりします。こうなると死なばもろともで倒産もやむなしという状況にもなりかねないのです。あまり機動的な資金調達を阻害するような契約は、なるべくしないようにすることと、このままでは潰れる、あなたたちの投資金がパアになると脅すしかなくなってきますね。

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