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ベンチャー・キャピタルの老舗といえば、株式会社ジャフコでしょう。東証一部上場企業でもあります。上場してベンチャー・キャピタルを行う形態は、アメリカではあまり見受けられません。アメリカではパートナーが即断即決するのですが、組織的なベンチャー・キャピタルは、ベンチャー・キャピタルの資金調達ニーズをヒアリングして、投資委員会等の組織にかけて投資決定を行います。投資する場合には、ベンチャー・キャピタルそのものが投資するのではなく、ベンチャー・キャピタルがファンドを組成して、そのファンドから投資を行うという形になります。さて、ここではベンチャー・キャピタルが組成するファンドについて詳しく見ていきましょう。投資用ビークルとしては次のようなものがあげられます。
形態 | 株式会社 | 組合 | 匿名組合 | 投資事業有限責任組合 | 有限責任事業組合 | 合同会社 |
根拠法規 | 会社法 | 民法 | 商法 | 投資事業有限責任組合契約に関する法律 | 有限責任事業組合契約に関する法律 | 会社法 |
出資者の責任 | 有限責任 | 無限責任 | 有限責任 | 無限責任と有限責任 | 有限責任 | 有限責任 |
課税 | 法人税 | パススルー(※) | パススルー | パススルー | パススルー | 法人税 |
登記 | 要 | 不要 | 不要 | 要 | 要 | 要 |
備考 | ファンドに使われることはあまりない。 | 契約だけで設立可能。アニメや映画の製作委員会で使われる。 | 不動産ファンドの投資スキームとして多く活用されている。 | 国内の大型ファンドはたいていこの形。会計監査が必要。 | 共同で意思決定する要件が厳しい。株式を投資対象とするファンドにはあまり使われない。 | ファンドではあまり使われない。 |
パススルー:持分等に応じ各出資者の利益に合算して課税
ファンドとしては、
- ファンド段階で課税が行われないこと
- 出資者が有限責任であること
が使い勝手が良いものとなります。ファンドは利回りが求められるため、ファンド段階で利益に課税されずにキャッシュを出資者に分配した方がパフォーマンスがよく見えるのです。
また、ベンチャーキャピタルファンドは投資対象が株式で利益はその株式のキャピタルゲインとなります。法人が出資する場合にはあまり変わりませんが、個人が出資する場合には、株式のキャピタルゲインが約20%で済みますし、配当の場合には総合課税で最大約50%となりますから、所得の種類によって税金が異なるということを抑えておいた方がいいでしょう。