資本政策から見る、シリーズB、そして上場

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

上場前にもう一度、増資が必要になったとします。企業価値が高く一株当たり株価も上がっているので、株数が少なくても希薄化は抑えられています。シリーズBではベンチャーキャピタルから1,000株、業務提携先から500株、株価が20万円として、合計の調達額は3億円としてみましょう。資金調達後、それをポスト(Post)といいますが、ポストで61億円の株主価値になりました(資金調達前はプレ(Pre)といいます)。

この結果、代表取締役は75.9%から72.1%に、取締役や個人投資家は6.9%から6.6%に、VCは今回の増資によって割合が高まり、10.3%から13.1%に、このときベンチャーキャピタルが前回と別のベンチャーキャピタルからの調達であれば、前回のベンチャーキャピタルの持ち分はそれだけ下がったことになります。そして今回新しく提携先が1.6%の持ち分を得ました。この辺になって上場が見えてくるとステージとしてはミドルからレイタ―ともいえます。主幹事証券がスケジューリングしていつ頃上場を目指すとすれば、ベンチャーキャピタルからの調達は格段にラクになります。安定株主も8割弱ですからまだまだ大丈夫ですね。できれば上場前は6割程度にとどめておければベターなのではないでしょうか。

さて、ベンチャーキャピタルが投資をする際の投資契約では、自分の持ち分比率が薄まらないように追加で投資をできる条項を付けることが多いですが、この条項は優先引受権と呼ばれます。追加投資をするのは投資家側の権利ですから、必ず投資しなければならない義務ではありません。会社の業績が当初想定していたように伸びていないとか、上場が見込めないような状況では既存のベンチャーキャピタルから追加の出資を受けられることはほぼありません。

資本政策表では設立してから5年弱で上場を行うことになっています。このとき株価は一株50万円、5,000株を発行して25億円を調達し、ポストで約177億円の時価総額の会社となるという計画にしています。計画上は代表取締役の持ち分が62.0%、役員や個人投資家が5.6%、ベンチャーキャピタルは11.3%、提携先は1.4%、そして公募増資で売り出した投資家が14.1%の持ち分となりました。絵にかいたような美しさです。

以上が資本政策のざっくりした説明になります。事業計画と同様に、資本政策も最初に作成した計画のままに進むということはほぼありません。当然、事業が上手くいかなければ、予定していた企業価値で予定した額の調達もできないかもしれませんし、予想以上に事業が上手くいった場合には、予定以上の金額を調達できる可能性も出てきます。あとは市況の問題とも絡んできます。事業が思った以上に上手くいっても調達が思ったようにいかないとか、それほどうまくいっていなくても調達が思いのほか上手くいってしまったということもないとは言えません。少ないですが。ただ、当たらないからといって資本政策を作成しなければ、投資には全く結びつきません。プロの投資家であれば、思ったようにいかないことも想定していますから、資本政策と異なっていても、起業家としては適宜修正していくしかありません。とにかく計画を立てることがまず重要ということです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

10社を上場へ導いたプロによる上場支援

上場支援プロでは、

  • 法務
  • 財務
  • 会計
  • 税務
  • 資金調達

を中心として会社を設立してから、最短で時価総額を高め、

スムーズに上場するための支援をしております。

お電話でのお問い合わせ:050-3627-7700 まで。


お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*