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企業にとって、上場のメリットはエクイティファイナンス等の資金調達の多様化、知名度、社会的信用の向上等をもたらすことです。しかし逆に金融商品取引法対応や上場維持費用等の負担が発生します。既存株主にとっては流動性が高まり、株式市場や投資者にとっては、上場により新たな投資対象が増え、収益獲得や分散投資等の選択肢が増えることになります。
特に、上場企業の発行株式は金融インフラの流通媒体として組み込まれます。金融インフラとは、年金基金、投資信託、生損保の投資資金です。期待されていることは、年金積立金の運用を年金基金に委託し、上場企業株式の株価が上昇すれば、運用リターンが実現し、ひいては国民の老後保障が安定するといった好循環が期待されています。
上場を実現させると日本国民全体の貢献になるのです。当然、年金だけでなく、そこで働く従業員、取引先、顧客や国家等がよりウィン・ウィンの関係を築くことになります。株主や投資家とウィン・ウィンの関係を築く以上のものが上場企業にはあります。世の中に必要な企業として成長・存続する可能性を高めるのです。
株主や投資家と会社の関係には、確実に投資家を儲けさせなければならない義務は上場企業にはありません。儲けさせないと投資家を辞めてしまうことはありますが。あくまでも投資家の自己責任となります。会社が不祥事を起こしても、会社はその不祥事に対して対外的な責任を負いますが、株価下落の責任を全部被ることはありません。但し、役員に対する株主代表訴訟の対象にはなります。そして最低限としては、経営者は企業活動に関する説明責任や努力義務が問われます。
東京証券取引所は有価証券上場規程の別添として定めたコーポレートガバナンス・コードにおいて、上場会社の経営陣や取締役が収益力や資本効率等の改善を図り、企業の持続的成長と中長期的な企業価値向上に取り組むことを定めています。
また、金融庁が制定したスチュワードシップ・コードにおいて、機関投資家が受託者責任を果たすべく、投資先企業との目的を持った対話を通じて投資先企業の持続的成長を促し、中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を定めています。