資本政策には、上場までに調達すべき資金量が記載されています。初期投資がほとんど必要ないビジネスモデルもありますが、おそらく数千万円しか集めずに上場できたケースはないでしょう。少なくとも数億円は出資してもらっているはずです。
仮にAIで全部賄えるから、上場は社長一人とスタッフ数名です。というケースが、今後全く生じないとは言えませんが、どうしても内部統制システムの構築やら上場後の管理事務を考えると、それなりの人員を抱えなければなりません。
上場が社長一人とスタッフ数名で可能だというビジネスがあれば、そんな素晴らしすぎるビジネスには有象無象が参入してきて、すぐさまレッドオーシャン市場に様変わりしてしまいます。もちろん、あと半世紀後や1世紀後はわかりませんよ。AIが人並みに優れたものになれば、AIだけの会社の上場企業も出てこないとは限りません。しかしそれは、今は単なる夢物語です。その頃、人は働かなくても食べていける時代になっているでしょう。なんかそれも味気ないですけれどもね。話を元に戻しますと、レッドオーシャン市場になれば、広告宣伝費を莫大にかけなければならない、人を多めに雇う必要がある等、他社との競争で急成長する必要が生じ、資金が必要になってくることになるでしょう。
さて、上場時の時価総額はよくニュースで騒がれています。上場前に通信障害などのトラブルに見舞われましたが、2018年12月19日にソフトバンクが東証一部に上場したとき、初値は1463円、終値は1282円と公開価格の1500円を下回る価格で、初日の取引を終え、初値ベースでは7兆35億円と7兆を超える時価総額だったが、終値ベースでは6兆1370億円となりました。そしてソフトバンクグループが調達した資金は初値ベースで約2兆6000億円と、国内では過去最大規模の金額となったとの報道がされています。さすが、スケールが違いすぎますね。
ちなみに各市場に上場基準があり、そこで時価総額については次のようになっています。
東証一部 上場時500億円以上
東証二部 上場時20億円以上
マザーズ 上場時10億円以上
ジャスダック 同上
理論的には以上の時価総額を上回れば、上場できます。特にマザーズやジャスダックは上場時10億円でいいんですから、ちょろいもんです。表面的には。実際のところ、10億円の時価総額がつけば、上場が認められるのかというとそんな甘いものではありません。時価総額以外の基準もありますし、ぎりぎり10億近くでは、その後の株価形成の問題も出てきますから、ぎりぎりで上場は認められません。せめて上場時100億を目標にしませんか。PER20倍想定で、税引後利益5億円を目標にしましょう。結構レベル高いですけどね。