非事業資産

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

事業価値に対して、事業に関係がなく、それを処分しても問題はない資産の価値を非事業資産として加算し、その合計を企業価値とします。事業価値は企業の営業活動から生じる将来のフリー・キャッシュ・フローの割引現在価値ですが、非事業資産は企業の営業活動に利用されていないため、買い手がその後で処分できます。そのため非事業資産は時価で表します。

企業の主たる営業活動に関係のない資産全てが非事業資産になるわけではありません。あくまでもフリー・キャッシュ・フローの獲得に貢献しておらず、処分をしても制約がない資産です。例えば以下のようなものです。

  • 運転資金として常時確保しておく必要のない余剰資金の現預金(定期預金等)
  • 企業の遊休地。賃貸料をフリー・キャッシュ・フローに含める場合には企業価値に反映させますが、賃貸料を取っておらず、利用目的がなく、売却しても事業場制約がないものは、処分価値を見積もって非事業価値に含めます。
  • 売買目的有価証券。関係企業株式のように長期保有が前提となっている場合は事業資産となりますが、事業に無関係で容易に換金可能なものは非事業資産となります。

ここで特に問題になるのが余剰資金の考え方です。余剰資金は事業に投下する必要のない資金ですので、自己株式取得や配当の増額によって株主に還元すべきものです。この余剰資金の範囲を決定することは事業に必要な資金の範囲を決定することです。事業に必要な資金は個々の企業によって異なります。債権の回収条件や債務の支払い条件は企業によってさまざまでしょう。

期中で運転資本の増減幅が大きい企業は、キャッシュ・フローの増減が大きいため、必要資金の水準は高くなると考えられます。しかしながら、必要資金と余剰資金を区別して経営を行うケースはあまりないと思いますので、余剰資金額の決定は悩みの種です。

マッキンゼー・アンド・カンパニーによれば、S&P500の金融機関を除く全企業の現有保有高を調査し、その結果、現金の保有が最も少なかった企業では、売上高の2%を少し下回る程度であったとの研究結果から、売上高の2%を上回る現金は全て余剰資金とみなすこともあり得るとしています。しかしこの比率もあくまでも目安ですし、明確に決まっておらず、業界によって必要な現金の規模は異なるといえるでしょう。

このことから、事業に必要な資金を決定するにあたっては、評価対象企業の業界の中で現預金の少ない企業の水準を参考にするという手もあります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

10社を上場へ導いたプロによる上場支援

上場支援プロでは、

  • 法務
  • 財務
  • 会計
  • 税務
  • 資金調達

を中心として会社を設立してから、最短で時価総額を高め、

スムーズに上場するための支援をしております。

お電話でのお問い合わせ:050-3627-7700 まで。


お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*