日本のベンチャー企業における制度設計とは

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従来の日本のベンチャー企業のコーポレートガバナンスの形は、
「取締役会非設置会社」→「取締役会+監査役」→「取締役会+監査役会」
と発展していくイメージでしたが、今後は社外取締役が2名以上確保できることを条件として、
「取締役会非設置会社」→「監査等委員会設置会社」
という発展の仕方が増えてくるでしょう。

仮に2名以上の社外取締役の確保が難しい場合には、
「取締役会非設置会社」→「取締役会+監査役」
から取締役会+監査役会、あるいは監査等委員会設置会社へ向かってもよいかもしれません。

従来型の組織形態でなければ上場審査に問題が出てくるというわけでもありません。全てはコーポレートガバナンスという牽制機能が働いているか否かが問われます。カブドットコム証券やクックパッドは上場時から委員会設置会社でしたし、以前、ミクシィは上場時点では監査役2名だけで監査役会設置会社ではなく、上場後初の株主総会で監査役会設置会社となったという例もあります(むしろ例外に近いですが)。

ちなみに東京証券取引所のガバナンスコードが以下のように公表されています。

「独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきである。また、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、自主的な判断により、少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記にかかわらず、そのための取組み方針を開示すべきである。」

コーポレートガバナンス・コードはあくまで要請にすぎないものでありますが、法規定上、社外取締役を設置するか設置しない理由を株主に対して説明するか、のどちらかを講ずる必要が生じました。

監査役会設置会社においては、従来より社外監査役を最低2名設置する必要があり、監査等委員会設置会社への移行と同時にこれらを横滑りで社外取締役とすれば、コーポレートガバナンス・コードを形式上満たすことができます。そのため、監査役会設置会社よりも社外役員数が少なく済む監査等委員会設置会社は上場企業にとってメリットが大きくなります。そのため、今後、上場を意識するベンチャー企業でも「監査等委員会設置会社」の採用例が増えていくことが予想されます。

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