投資契約におけるその他の条件について

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投資契約に盛り込まれる可能性のある権利を色々と記載してみましょう。

(a) 先買権

ベンチャー企業からすると、その投資家の持っている株を第三者に勝手に売られても困るので、投資家が株式を売却する場合、会社や社長に相談して、会社や社長が購入できなければ、会社や社長が指定する第三者が購入できる権利です。

もしくは投資家としても、ベンチャー企業の起業家が勝手に第三者に売却してしまっても困るので、そのベンチャー・キャピタルが先に購入できる権利ともいえます。

起業家と投資家の間でもめ事が発生し、多くの場合、起業家がその投資金を予定通りに投資家に返せない場合、死なばもろともで、投資家が第三者に二束三文で売却(もってけ泥棒)することがあり、その先が反社会的勢力であれば目も当てられません。いつの間にか怖い人たちが会社にやってきます。従業員は怖くて逃げますよ。

(b) 拒否権

会社法上は3分の1超を持っている株主に与えられる当然の権利ではありますが、発行株式の2割程度しか持っていないのに、投資契約に拒否権条項を加えてくる可能性があります。必ず入れなければならないわけではありませんが、この辺は交渉次第です。ここでこの条項を拒絶すると、投資を受けられなくなる可能性は否定できません。

(c) 優先引受権

ある投資家の出資時に10%投資してきたら、その後の増資があったときに、その投資家が10%の割合をキープするように、出資できる権利です。これは投資家にとって権利ではありますが、義務ではありません。従って、必ず出資してもらえる権利ではないことに注意が必要です。

(d) 共同売却権

ベンチャー企業の買収がある場合は、大変、全員分をそろえて売却するというのがほとんどだと思います。会社法上は半数超の持ち分を確保できれば、ほぼ好きなことができるわけで、全株式を購入する経済的合理性があるかどうかは、新しい購入者の考え方次第です。このようなばあいベンチャー・キャピタルが避けるべき事態は、起業家やその他役員が、売り抜けて、自分だけ残される状況です。いわゆる売り逃げですね。例えば起業家やそのほか役員が6割強の割合を保有し、その分だけで新しい投資家は十分だとされるケースです。そのため、社長が売却するときにはベンチャー・キャピタルが一緒に売ることを契約書に定めておき、その投資家の持ち株も一緒に引き取る交渉をすることにコミットさせるのです。もっともその新しい投資家が連れてきた経営者の方がやり手だったら、その人に任せた方がいい場合もあります。ですからこの共同売却権も権利であって、義務ではありません。

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