ストックオプションの発行は計画的に

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お金を借りるわけではないのですが、ストックオプションの発行も計画的に行いましょう。もっとも行使時にお金を借りるかもしれませんが。通常は企業価値は企業の成長とともに、だんだん大きくなっていくはずなので、ストックオプションは創業時に近い時期、つまりなるべく早い時期にもらったほうが、受け取った方は有利になります。

例えば、1千万円(1株1万円×1,000株)で設立したときと、事業に魅力が出てきてベンチャー・キャピタルが企業価値3億円での投資を行うとすると、その時点で株価が1株30万円になっています。つまり30倍ですね。そうすると行使価格も30倍になってしまいます。この時点で、いきなり役員や従業員にストックオプションを渡そうとしても、彼らの動機付けにもマイナスに働きます。しかしそういう起業家も少なくありません。

ベンチャー企業はそもそも株価のことなんかは最初全く頭に入っていなくて、設立時は、画期的な製品やサービスを提供して、それがユーザーに受け入れられ、爆発的に売れることを考えていますから、創業初期にストックオプションなんて、さらに考えているわけがありません。そうは言うものの、ベンチャー・キャピタルから提案があるまでの創業以来赤字であれば、純資産が1千万円を割り込んでおり、税務上も株価は1万円と解釈できる余地があります。ベンチャー・キャピタルへ出資を仰ぐ相当前段階でストックオプションの発行を済ませてしまうことをお勧めします。

ベンチャー・キャピタルからの出資がおおむね決まり、ドタバタでストックオプションを発行しても、ベンチャー・キャピタルからはいい顔をされません。出資がおおむね決まる段階では資本政策の提出も終わっているため、もう一度潜在株も含めた資本政策はこちらですと出しなおしたら、そもそも投資の話がおじゃんになることもあります。あるいは株価を下げさせてくれとなり、ベンチャー・キャピタルの持ち分が当初より高めになってしまうでしょう。こうなったときには役員や従業員には申し訳ないですが、ベンチャー・キャピタルから出資を受けた後、つまり行使価格が高くなってしまった後で発行せざるを得なくなります。出資を受けられなくなるよりははるかにましでしょう。

あと、役職員や従業員に説明するときは、時価総額がめちゃくちゃ高くなるといえば、1万円と30万円の違いはあれども、この企業価値が300億円になるとでもいえば、一般的な役職員にとっては誤差の範囲です。上場で数億円手に入れられるわけですから。

また、ベンチャー・キャピタルとの契約書の中で、優先引き受け条項が盛り込まれ、新株や潜在株式の発行に制限がかかることもあります。こういうときには「ただし発行済み株式数の〇%のストックオプションは別」というような条件を付けておいて、会社側で自由にストックオプションを付与する余地を残しておいた方がいいでしょう。そういう条項をベンチャー・キャピタル側で拒否することはありますが。

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