日本において中々優先株式が普及しない理由とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

日本ではまだ優先株式が思った以上に普及していませんが、その理由を記載してみましょう。

(a) ややこしい

トラブルとは起こることを常に想定しておいた方がよいのです。そして事前に調整しておくことでそれらトラブルを回避したり、トラブルが起きた時の損失を最小限にとどめることができます。しかし、考えられるケースを網羅して契約や優先株式の内容を決めようとすると、かなりややこしいことになります。

また、日本のベンチャー・キャピタルにありがちなのが、スタッフ一人当たりの担当会社の数が多く、一つ一つの会社の契約や優先株式の内容を細かくチェックするとなりますと、複雑になればなるほど、弁護士のチェックもまた必要になってきて、その分費用負担もバカになりません。費用負担をするためにはそれだけ大きい案件に限られますし、仮に優先株式の内容に問題があった場合、それで上場審査で指摘され、上場できなくなったら、やってられなくなります。そもそも投資を受けようとする経営者の方も理解が難しいでしょうから、投資する側、投資を受ける側が面倒くさいの一言で優先株式を積極的に行わない理由もあるようです。

(b) 起業家と投資家の思惑

あるベンチャー・キャピタルが優先株式でないと投資をしないといっていたとしましょう。そこに別のベンチャー・キャピタルが現れて、うちは普通株式でいいですよ、という話になれば、よほど条件が前者の方が有利でない限りは、後者を選択するでしょう。なんやかんやで日本はベンチャー天国のような状態です。イケてる案件が極めて少ないため、そのような案件には投資が寄ってたかってきます。人気者になれば投資家を選べてしまいます。イケてるベンチャーが増えて競争が激しくなって、日本のベンチャー業界全体の投資スタイルが変化してこない限り、優先株式が増えるということはないでしょう。

(c) 買収を前提とはしづらい

日本のベンチャー企業は、やはりIPO(株式公開)が前提となります。起業当初からM&Aを想定する企業はまだマイナーでしょう。もちろんIPOができることを前提とするならば、M&AよりもIPOの方が株主のリターンは大きいものになりますので、最初からM&Aというのは考えづらいのです。普通は、会社を人手に渡すという方が嫌だ、という経営者は圧倒的に多いでしょう。このために、買収を前提としない場合にはあまり優先株式が有効ではないために、面倒くさい優先株式が敬遠されることになります。

優先株式が普及するためには、IPOのハードルは今のままであるとして、企業にチャレンジする人が増え、M&AもEXITの選択肢の一つと考える人が増えることが必要であると思われます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

10社を上場へ導いたプロによる上場支援

上場支援プロでは、

  • 法務
  • 財務
  • 会計
  • 税務
  • 資金調達

を中心として会社を設立してから、最短で時価総額を高め、

スムーズに上場するための支援をしております。

お電話でのお問い合わせ:050-3627-7700 まで。


お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*