設立の際にふさわしい資本金とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

資本金はいくらにしておいたらいいのでしょうか。大きければ大きいほどいいのでしょうか。それは場合によりますね。実は資本金が大きい方がいいというのは、銀行さんが見た場合の話なのです。

資本金というものはあくまでも債権者が資金を回収しやすくするためのバッファにすぎません。資本金が大きければ大きいほど、分配できない財産が会社に多く残るので、債権者に有利に働きます。会社が清算されたら、税金、社会保険、給与が優先され、その後取引先の支払いが優先され、続いて銀行への返済が優先され、それでも残ったら初めて株主に分配されます。会社がつぶれてしまうような状態では銀行さんの取り分も残ってやしないのですが。

実は資本金が大きいとデメリットがあります。資本金1億円以上になりますと担当が税務署から国税に変わります。税務署の方も税金のスペシャリストだらけですが、国税になりますとその中でもエース級の精鋭ぞろいです。要するに税金について、言い訳が聞かなくなってくるといえるでしょう。厳しく追及されることが相対的に増えるはずです。そもそも外形標準課税等、住民税や事業税も資本金が大きければ、ただ大きいというだけで、利益が出ていなかったとしても、税金の支払いが増えます。そもそも増資の際の登録免許税(増資金額の1,000分の7)もバカになりませんね。また、資本金が5億円を超えれば、大会社となり、会計監査人の設置が義務付けられます。色々と維持コストがかかってくるわけです。そのため、資本金はなるべく大きくない方がコスト的にはいいわけです。但し、債務超過はみっともいいものではありませんから、それを避けるくらいの資本金を持っていた方が望ましいといえます。制度的に資本金は1円でもできるからと言って、そうしてしまうと、すぐに債務超過になります。

資本金がいくらがいいとは明確に言えませんし、それは業種によって異なります。ざっくりと考えれば数百万円はあった方がいいといえるでしょう。設立時には1,000万円未満にしておいた方が、消費税の免税業者になります。2年間は消費税の支払い義務を避けられますので、何かとお得です。但し、1,000万円未満にしておいても、消費税課税業者を選択する方が有利な場合があります。飲食店や美容室など箱もので、設備投資がかかり、初年度が赤字になりやすい業態です。その時には消費税を還付できる可能性があります。

設立や増資の際の払込等の額の2分の1位かは基本金にしなくても構いません(会社法第445条第2項)。そのため、ベンチャー企業の設立時においてはなるべく資本金を減らせないかを考えてみましょう。債務超過の計算では資本金と資本剰余金がバッファになります。それなので、資本金を2分の1にしておいても、問題はありません。

株主のことだけを考えれば、資本金は小さくてもそれほど問題はありませんが、関係者は最初は金融機関や取引先の債権者だらけです。そう考えますとある程度の資本金を持っていた方が信用力は上がります。資本金の金額もバランスと言えそうです。

なお、投資家から見ますと100万円でも1,000万円でも、会社の価値を考えて時価評価しますので、資本金の大小はそれほど影響しません。どちらのケースでも数億円~数十億円で売却された事例はいくらでもあります。但し、一部を出資してもらうケースでは、資本金の金額も企業価値を算定する上で影響を与える可能性があります。しかしこの場合でも資本金が大きければ企業価値が必ずしも高いということにはなりません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

10社を上場へ導いたプロによる上場支援

上場支援プロでは、

  • 法務
  • 財務
  • 会計
  • 税務
  • 資金調達

を中心として会社を設立してから、最短で時価総額を高め、

スムーズに上場するための支援をしております。

お電話でのお問い合わせ:050-3627-7700 まで。


お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*