資本政策を作成して、妥当な持株比率を考えよう

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株式会社という組織は、従業員の立場から見るとイメージがわかないと思うのですが、株主の立場から見ますと完全民主主義の状態になっています。どういうことかと申しますと、株主の持ち分が多い人の意見が通る仕組みです。株主も持ち分が多ければ、その人の言い分が通ってしまいますから独裁政権のようにしかなりません。国で独裁政権になったら、民主主義をやっている他の国逃げられればいいのですが、封鎖されるとどこにもいけませんね。株式会社の場合には、持分をどなたか買ってくれれば手放す、ということになるでしょう。

株式会社は株主にとっての民主主義ですから、従業員にとっては民主主義でもなんでもありません。労働法で守られている気はしますが、はっきり言って奴隷といってもいいくらいです。そんなところを愚痴っても仕方がないですね。少なくても経営者が好き勝手にできるものでもありません。但し、その経営者が株式会社の持ち分を多く握っていれば話は別です。ほぼどんなことでも好き勝手にできます。役員報酬はいくらでも取れるでしょうし、会社の金も基本的には使い放題です。もっとも銀行返済が滞るようなことがあれば、自由が利かなくなることもありますし、科目が異なれば、税務署が文句をつけることもあります。前者の場合はお金があれば使い放題ですがなければ使えません、そして後者の場合には極端な話たくさん税金を払えば、その他は使い放題という意味です。

逆に言えば、経営者であったとしても、誰か他の人が株式会社の持ち分を多く持っていれば、経営者は株主の単なる道具にすぎません。会社から委任されているタダの人です。いつ首を切られるかわかりません。投資家が「自分がお金を面倒見てあげるから、君は自分の好きな通りやり給え。僕は君のような人を探していたんだ。」なんて甘いことを言って、大多数の株式を手に入れたとたん、時期を見計らって、手のひらを変え、舌の根も乾かぬうちに、その会社を作った起業家を追い出してきたことを何人見てきたことでしょう。

しかし追い出されても文句は言えないんですよね。だって、民主主義なんですから株主の勝手なわけですよ。しかも経営者は役員ですから、完全に契約関係に基づいていて、労働法でも保護されていません。解雇するなら1か月分の給料をよこせとも言えません。解雇でなくて解任ですけれども。さらに株主の権限で、取締役を解任し、加えて登記簿謄本からあなたの名前が消えます。本当にただの人になってしまいました。

ちょっとリアリティのある話をさせていただきました。自分が見てきた話のごく一部です。よく起業家から増資をする際に、エンジェルやベンチャーキャピタルに株式を何パーセントくらい渡しておけばいいのかという質問を受けますが、一般論としては「ケースバイケースです」としか答えようがありません。そもそもベンチャー企業の性質やステージ、規模にもよりますし、完全に相対取引でもありますから、その持分じゃ投資できないね、と言われたら、ベンチャー企業側としてはそれを飲むか飲まないか、お金がなくて困るか困らないか等、色々な判断を迫られることになります。

この相対取引で、エンジェルやベンチャーキャピタルに対しての交渉材料として用いるのが資本政策となります。上記のケースバイケースを検討するためのツールです。当然事業計画も反映されたうえで以下のことを考えます。

(a) 必要となる資金が調達できるか
(b) その時の企業価値や株価は適正か
(c) 上場後も安定した株主構成となるか
(d) 創業者や投資家の苦労に報いられるほどのキャピタルゲインは出るか
(e) 上場基準は満たしているか

以上のことを総合的に考えて、資本政策を作成しなければなりません。

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