残余利益法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

残余利益法とは評価時点における事業用資産の帳簿価額に対し、将来における営業残余利益の割引現在価値の合計額を加えることによって事業価値を算定する手法のことです。ここでの営業残余利益とは、NOPLATから正常な利益(期首事業用資産×WACC)を控除した超過利益のことを言います。

営業残余利益=NOPLAT-事業用資産×WACC(加重平均資本コスト)

投下資産利益率(ROIC:Return On Invested Capital)は次のように示されます。これは税引後営業利益を投下資本で割ることで求められる指標のことです。

ROIC=NOPLAT/事業用資産

そのため、NOPLATは次のように示すことができます。

NOPLAT=事業用資産×ROIC

これらから、営業残余利益は次のように求めることができます。

営業残余利益=期首事業用資産×(ROIC-WACC)

NOPLATとは企業の営業活動からもたらされる事業用資産に対するリターンであり、WACCはその企業に対して投資家が期待する平均的なリターンです。そのため、ROICとWACCの差は企業が投資家の期待を上回って獲得したリターンであり、これに事業用資産の残高をかけたものが営業残余利益となります。

営業残余利益は、当該企業の騎手事業用資産の帳簿価額に対して期待される利益を超えて獲得された利益の割引現在価値という意味で、会計上ののれんに相当します。従いまして、これに評価時点の事業用資産の帳簿価額を合算することで求めた事業価値は、予測が整合的である限りDCF法で算定された事業価値と一致することになります。DCF法においては将来のフリー・キャッシュ・フローの割引現在価値として事業価値を算出し、このようにして求めた事業価値が会計上の事業用資産を超過する場合、当該超過分がのれんとして認識されます。これに対して残余利益法は、正味の事業用資産から期待される利益を超過して得られた営業残余利益が現在価値に割り引かれることでのれんが算定され、これに評価時点の事業用資産を加算することで事業価値が算定されます。両社はのれんを事業価値と事業用資産の帳簿価額の差額として求めるか、営業残余利益の輪いびき現在価値として求めるかの違いはあれど、のれんと事業用資産の帳簿価額を合算して得られる事業価値は理論上一致します。

残余利益法を採用する意義は次の二つです。

(a) 企業の収益性と事業価値の関係を明示的に分析しやすい。

会計上の利益がプラスでも拡張的な投資が続けられる場合、フリー・キャッシュ・フローがマイナスとなる可能性があり、フリー・キャッシュ・フローが企業の収益性に関する指標としては有用でない場合があります。

(b) 事業価値に占める継続価値の割合が小さいため、継続価値に関する見積もりの相違によって算定される事業価値が大きく変動する現象が起きにくい。

DCF法では予測期間のフリー・キャッシュ・フローが資本的支出や運転資本の増加の影響で会計上の利益に比較して小さく算定されますが、継続価値の算定でそのような拡張投資が小さくなり、会計上の利益とフリー・キャッシュ・フローの乖離が小さくなります、その結果事業価値のかなりの部分を継続価値が占めてしまい、成長率のわずかな誤差等で算定結果に重要な影響が生じる可能性があります。

一方企業の超過収益力が次第に低下する傾向を考慮すると、残余利益法では、予測期間狩猟後の残余利益は予測期間終了後の残余利益は予測期間のそれに比して低くなるのが通常であり、企業価値に占める継続価値の割合が小さくなります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

10社を上場へ導いたプロによる上場支援

上場支援プロでは、

  • 法務
  • 財務
  • 会計
  • 税務
  • 資金調達

を中心として会社を設立してから、最短で時価総額を高め、

スムーズに上場するための支援をしております。

お電話でのお問い合わせ:050-3627-7700 まで。


お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*