監査役のスケジュール感を確認してみましょう。
(a) 監査計画
監査方針を定め、重点項目、日程、監査内容、職務分担等についてプランニングします。
(b) 期中監査
取締役会その他の重要会議への出席、事業所の往査、稟議書等重要書類のチェック、代表取締役などへのヒアリング、内部統制の整備、運用状況の確認等を行います。また、定期的に内部監査人、会計監査人とミーティングを行って、監査内容、重点項目、発見事項等の共有をしておきましょう。
(c) 期末監査
会社法事業報告とその付属明細書の検討、計算書類とその附属明細書の検討、決算短信検討、株主総会に係る一連の手続きの適法性、有価証券報告書、内部統制報告書等の検討等を行います。
(d) 監査報告
監査役会は、各監査役の監査報告に基づき監査報告を作成します。これとは別に、期中等の監査での発見事項は都度に適時にフィードバックを行いましょう。フィードバックは監査役会として都度、取締役会等のタイミングで書面又は口頭によって行います。指摘事項は、期日を設定して改善を求め、後日フォローアップしましょう。このフォローアップ状況は上場審査で確認を受けることになります。
(e) 監査調書
監査手続きの実施結果は、監査調書に記録します。監査調書には、監査日、実施者、監査目的、実施手続き、ヒアリング相手、閲覧資料、実施結果、結論等を記載します。また、上場審査で内部監査人及び会計監査人との連携状況の確認を受けるため、実施したミーティング状況も記録しておくことが必要です。監査調書の保存期限に明文規定はありませんが、監査役会議事録の保存期限である10年が参考になると思われます。
(f) 監査役会の開催
監査役会は、月次で取締役会の開催日に合わせて開催されることが多くなっています。出席率の低い役員がいる場合は上場審査上問題となるため、年間開催予定の決定等早めのスケジュール調整を行ったり、非常勤監査役が出席できない場合に、取締役会と監査役会の双方を欠席することになるので、監査役会の開催は日程をずらす、といった工夫を行うことが必要になるでしょう。
(g) 議事録
監査役会の議事録には出席した監査役が証明し、10年間本店に備え置くことが必要です。上場審査においては、議事録及びその添付資料に基づき決議内容の審査が実施されるため、必要十分な記載を心がける必要です。また、上場申請書類と議事録の整合性にも注意しましょう。