所有と経営の分離がもたらした資本主義社会の大革命

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株式会社は、所有と経営が分離することを前提としています。経営者が株主でなければならないとすると、お金はないけれど優秀な人とお金があるけれど自分で経営する能力がない人の両者を活かしきれません。「お金はないけれど優秀な人」と「お金があるけれど自分で経営能力がない人」。これをマッチングするのが株式会社というシステムなのです。

ここで重要なのは「お金はないけれど優秀な人」が圧倒的に少ないという事実です。お金はないけれど優秀でない人が大半であって、そういう人たちはどう転んでもお金持ちがお金を拠出することはありません。それを理解すべきです。ちなみにこの所有と経営を分離するというアイデアが17世紀に発明されたことで、現在の資本主義社会が発展したともいわれています。

以前は、資本の力が強かった、これは資本を持つものが権力を握った時代でしたが、資本主義社会が発展するに従って、資本政策や株価の違い、優先株式等を活用することにより、金がないけれど優秀な人が会社の大株主になれるようになりました。むしろ株式会社という制度がうまく機能していることの他に、それだけ資本の価値が下がったといえるのかもしれません。現代は、優秀さが資本を凌駕する時代といえます。資本主義から知本主義へ変化しつつあると表現する方もいらっしゃいます。アイデアがお金になる時代、お金を増やす能力のある人の方が優秀な時代と言うこともできるでしょう。

さて、前回述べましたように、経営者と株主の利害が一致しない、別の言い方をしますと委任者(株主)と受任者(取締役)の利害が一致しないことをエージェンシー問題といいます。これはちょっとした豆知識です。

さて、企業価値と経営者の取り組みを二軸を取って考えてみると次のようになります。

  • 経営者が実行したいことと企業価値を高めること
  • 経営者が実行したいことですが企業価値を下げること
  • 経営者が実行したくないのですが企業価値を高めること
  • 経営者が実行したくないのですが企業価値を下げること

ここで(d)だけは論外ですね。(b)も株主にとっては論外です。こういう奴は出資を受けるんじゃないよ、で一蹴しましょう。実際にジレンマが起きるのは(c)です。いわゆる経営者は実行したくないですが、企業価値を高めるならばやむを得ないでしょう。なるべくこれを避けるように、株主の満足度を常に高めておきたいものです。

コーポレートガバナンスとは経営者と株主の利害が異なるときに、企業価値を高めるかどうかで企業がどのように行動すべきかが一つの指針となると考えられます。一番良い選択肢は、上記の(a)経営者が実行したいことと企業価値が高まる方策を採用することです。また、株主を説得するにあたっては、常に〇〇することが企業価値を高め、株主のためになる。なぜならばそれは〇〇だからである、この〇〇に適切な回答を入れ込むことです。

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