安定株主について考えてみる

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安定株主について考えてみましょう。創業者が上場後もしばらく会社にとどまるケースが多いと思うので、創業者が多くの株式を持っていた方がいいでしょう。しかし上場まで巨額の資金調達が必要になり、創業者が経営を自ら自由に行うためにひつような持分を確保することはたやすいことではありません。そのために自分以外の安定株主をどれくらい確保できるかにかかっています。

その間、人間関係に気を使う必要があるでしょう。自分以外の安定株主は、他の役員があげられますが、二人の共同経営で始め、最初は仲が良かったのに、もう一人が俺やめたというケースは良くある話です。このときに代表取締役である創業者自らが6割の株を保有、もう一人の平取締役が4割の株を保有していたとします。その後も仲が良ければ問題ありませんが、けんか別れでもしようものなら、拒否権を持った株主がその場で現れることになります。

大体同じ考えの人間が、そんなにこの世にいるとは限りません。会社の経営方針が違う、報酬の割合が気にいらない、一人の女を取り合いしてけんかになった。最後なんて事業と全く関係ないでしょ、ということまで人間というものは、けんか別れする要素をたくさん抱えています。普段一緒にいればいるほど、相手の嫌なことが見えてきます。今までデート位でいいところばかりが見えていたのが、仲良くなって近くで見るようになって、嫌気がさしてくる。同棲したら嫌になった。結婚したら、態度が変わった。いつの間にかに男女関係の話になってしまいましたが、人間とはお互いに理解しあえないのです。

つまり、事業を行っていても、安定株主は実は自分しかいなかったということもありえます。そのため、株主構成を考える場合には、常々、この株主が敵に回った場合、大丈夫だろうか、とよく考えておく必要があります。もっともお金が苦しいときにそんな余裕をこいていられない方が多いと思います。そのため、これらは努力目標として、お金に余裕を残して次のラウンドの資金調達を準備しておく、株主をこちらから選べる精神的な余裕を持っておくことが何よりも大切なのです。

共同経営者だけでなく、親せきや知人ならば普段一緒にいないから大丈夫だろうなんて思わない方がいいです。また、共同創業者ではなくても、創業時に知人、親せき、エンジェルの個人投資家等から数パーセントの小口資金をちょっとずつだしてもらったら、それらを足すと、いつの間にか過半数となっているケースもないことはありません。それは結果論ですが、資本政策を全く考えていなかった場合です。

けんか別れ等で不安定株主になってしまった場合には、上場に対する不安定要素にもなりかねませんから、お礼も込めて高値で買い取る資金も必要になります。リスクの高い創業時にお金を出したのですから、さすがに元金だけなんてわけにはいきません。もっとも元金すら返せないような状況だとは思いますが。

一部の株式を残して将来のキャピタルゲインの可能性を残しておくなど、全体がハッピーになるような方向でまとめる必要も出てくるでしょう。

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