ストックオプションにおける合併の場合

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M&Aには買収企業が現金で株式を買い取るだけでなく、合併、株式交換、株式移転等組織再編を行って、相手方の株式を手に入れる場合もあります。M&Aを行う前にストックオプションを行使して株式を取得していれば、買収する会社の株式を受け取ることになりますが、行使前のストックオプションを、買収する会社のストックオプションに引き継ぐ場面も出てくるでしょう。このようなM&Aが発生した場合に、新株予約権の内容をどのように定めておくかは問題となります。

会社法第236条第1項第8号によれば、以下のように、新株予約権の内容としなければならないと記載しています。その条文だけをピックアップしておきましょう。

第236条

株式会社が新株予約権を発行するときは、次に掲げる事項を当該新株予約権の内容としなければならない。

八 当該株式会社が次のイからホまでに掲げる行為をする場合において、当該新株予約権の新株予約権者に当該イからホまでに定める株式会社の新株予約権を交付することとするときは、その旨及びその条件

イ 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 合併後存続する株式会社又は合併により設立する株式会社

ロ 吸収分割 吸収分割をする株式会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を承継する株式会社

ハ 新設分割 新設分割により設立する株式会社

ニ 株式交換 株式交換をする株式会社の発行済株式の全部を取得する株式会社

ホ 株式移転 株式移転により設立する株式会社

買収は交渉ごとですので、単に、「新株予約権は買収会社の新株予約権に置き換えられなければならない」と記載されていては、全く交渉の余地もないことになります。ひょっとして買収する会社が新株予約権を発行していないケースもあるかもしれませんし、買収される会社の従業員が一時に大金を手にすることで退職してしまう可能性もありますから、引き続きべスティングがついている買収側の会社の新株予約権を渡したいということもあるでしょう。

企業を買収する際、特に買収される企業がベンチャー企業の場合は、その技術力の高さに魅力を感じて買収したいと思うことが多いため、その技術力を生かせる技術者もその買収対象となっている可能性が高いのです。概ね技術のほとんどが、技術があるからそれでOKというものは少なく、その技術の開発者が今後もその技術の運用や追加開発を行わなければ事業化が難しいこともあります。そのような開発者は買収企業側としてはすぐにやめられては困ってしまいます。そしてその開発者が企業に残らないことが前提となった場合には、その開発者に業務委託で仕事を出すか、アドバイザーとして何らかの形で残ってもらうか、最悪の場合には買収が破談となることもあり得るのです。

いずれにしても、ストックオプションに関する契約についてはフレキシブルに対応しなければならないことも多いために、そういった記載にしておく必要があると思われます。

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